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2017年 5月15日

「正しさとは」5/15(月)
昨日の午後12時5分にお亡くなりになられた
うちのお寺の広島市内地区の総代さんであった
87歳の渡辺さんは元県庁の職員で、とっても温厚で
包容力のある方でした。


普通、どんなにいい人であったとしても、
どこか一つぐらい、嫌な癖がありそうなものですが、
この方にはそういった嫌な癖がまったくと言っていいほど
見当たりません。思い出せません。


大無量寿経の中に出てくるお経の言葉である
「和顔愛語」通りの方でしたし、また、身も心も柔軟な
「身心柔軟」な方でありました。


結構
辛口の私が、ここまで人を褒めるのは珍しいです。
それぐらい相手の気持ちを察して、相手の立場に立ったり、
相手を思いやる愛情ある対応ができる人でした。


仏教でいう正しさとは、
常に相手の身になり、周りの人の身になり、多くのいのちの
立場に立つということです。


ものを見るにしても、考えるにしても、話すにしても、
生活するにしても、常に相手の身になり、相手の立場に立って
生きるのが、正しく生きるということです。


話はこれだけですが、これがなかなか難しいのです。
私たちは仏法を聞いて、頭でど゛れだけ理解しわかったとしても、
この身や口は、なかなかそうはなりません。


相手の立場に立つどころか、
知らず知らずのうちに、自分のことばっかりを
追い求めてしまう人間です。


こういう自己中心的な人間のことを凡夫といいます。


ただ、渡辺さんはそうじゃあなかったです。


私たち凡夫が、自己中心的な自我に執着するのは、
本当に信頼できるものを見失っているからです。
本当に信頼できるものがあれば、自我に執着する
必要もないのです。


だから、渡辺さんは自分自身をとても自己信頼
されていたのだと思います。


それこそ自己を信頼し、無意識のうちにも
仏さまや多くのご先祖の方々とともに生きていらっしゃったから、
渡辺さんに会うと誰もがほっとできるような
温かさを自然と出されていたのではないかと思います。


今日の午後6時から
広島市内の平安祭典で「お通夜」をお勤めさせて
いただきますが、在りし日の正しく生きた渡辺さんの温かい笑顔を
思い浮かべながら、お通夜のお経を拝読させていただきます。


多くの皆さんに対して
温かい笑顔を布施してくださって
ありがとうございました。


感謝のお念仏を申し上げさせていただきます。


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13:15, Monday, May 15, 2017 ¦