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2015年 2月

vol. 9481
「正しい価値観を持つ」  (2015/2/28 [Sat])
自分の価値観にこだわる人がいる。
でもその価値観は胸を張って立派だと言えるのか。


正しい価値観を持ちたい。
普遍的な正しい価値観を持てば、自分の基準ができる。


正しい価値観は、よい本を読むことで得られる。
論語、老子、仏教聖典、聖書……。
人類が長い間読み継いできた本には、何らかの心理がある。


正しい価値観があれば、ぶれないし強くなれる。
普遍的な価値観を持てば、自信を持ってヘンといえる。


そして何よりも、正しい価値観を持てれば、
自信を持って強く生きることができるし、人に迷惑をかけない。

「人生の原理」より抜粋

vol. 9480
「考え方が地位を決める」  (2015/2/27 [Fri])
地位が人をつくるのか。
あるいは、考え方が人の地位を決めるのか。


社長という肩書が、社長にふさわしい人をつくるのか。
あるいは、社長にふさわしい考え方ができるから、
社長になれるのか。
どちらもあるが、正しいのは後者。


もし今それがないのなら、正しい考え方を身につける努力をしよう。
地位だけでは決して長続きしない。
人は考え方に合った地位になっていく。


裏を返せば、その人の考え方にふさわしい地位にしかなれない。
いちばん上に立つ人には、一番正しい考え方が必要。
強い組織は強い考え方を持っている。


「人生の原理」より抜粋

vol. 9479
「『生成化育』を信じる」  (2015/2/26 [Thu])
「世の中は必ずよくなっていく」それが「生成化育」というもの。
そう信じられる人と信じられない人がいる。
信じられない人はきっと自分の将来もしんじていない。

でも安心していい。
生成化育が自然の法則。
適者生存によって、滅びるべきものが滅びるものが世の常。
適者とは、世の中の発展に貢献する心を持つ人。


世の中が必ずよくなっていくと信じられる人は、決してあせらない。
あせらず一歩一歩、着実に歩む人の心には、いつしかダムができる。
「余裕」という名の水をためるダムができる。


「人生の原理」より抜粋

vol. 9478
「正しい考え方を身につける」  (2015/2/25 [Wed])
「考え方」―――
思想の大切さを知らないうちは、
一流の人にはなれない。


計算能力で「パソコン」勝てる人はいないし、
知識量なら「グーグル」の方がずっと上。


頭のいい人は自分は偉いと勘違いしがち。
「頭がいい」は「足が速い」と同じで、
少し便利なだけ。


大切なのは正しい考え方。
パスカルいわく「人間は考える葦である」。
と考えなければ、河原の葦と同じ。


正しい考え方を身につけたい。
自分自身が強く生きるためにも。
そして、この世がよくなるためにも。


「人生の原理」より抜粋

vol. 9477
「『上達の達人』になろう」  (2015/2/24 [Tue])
人間力とは、「成長する力」です。
あなたが今のレベルでどの段階にいるかは、
あまり問題ではありません。昨日より今日、
今日より明日、明日より明後日というふうに、
毎日0.01%でも成長することが人間力です。


今、どんなに高いレベルの才能を持っていても、
明日も同じだったり、逆に明日がマイナスなら、
人間力があるとはいえません。


職業スキルが明日も1年後も10年後も同じなら、
人間力がないのです。
職業スキルを成長させていくのが人間力です。
職業スキルを職業スキルだけのレベルで成長させることはできません。
職業スキルは、あるところで完成します。
でも、人間力に完成はありません。
どこまで行っても、「もっと」「より」というトライができるのが、
本当の意味でプロです。これが人間力です。人間力は奥が深い。


中途半端な職業スキルで満足する人は、
「自分はこれで完成した、100%だ、天才だ、
達成した」と思って、そこにとどまります。
そして他人にとやかく言い始めます。
志と自分の今のレベルとに、差がなくなっているのです。
自分が成長するにつれて、
志はもっと高く遠くを目指していきましょう。
サッカーのボールを蹴るように、
「志」というボールに近づいたら手で持ってしまいます。
それはサッカーではファウルです。
ボールをつかまえたり、ボールに追いつくだけでは
人間力はありません。ドリブル、パス、シュートをして、
「ボールという夢を未来へ蹴っていく力」が人間力なのです。

「『人間力』で、運が開ける」より抜粋

vol. 9476
「何が起きても『面白い』と感じられれば、ヒントが生まれる」  (2015/2/23 [Mon])
人間力のセンサーが磨かれてくると、
だんだん文句を言わなくなります。
そうすると、自分自身がストレスを感じなくなります。
文句を言いたいのにがまんして文句を言わないのではありません。

1.「面白い」と感じる 
2.「自分も気をつけなくちゃ」と思える 

この2つのメリットがあると、
トラブルを含めてすべてのことが楽しくなります。
行きの道が混んでいて、イライラして運転手さんに文句を言っても、
ストレスになるだけです。
その時、反対車線がすいていることに気づけば
「行きは遅いけれど帰りは時間が稼げる」と
言う判断ができます。往復で考えて予定時間どおりの
時間に帰れるという計画が成り立てば、
イライラすることはありません。
どんな状態になっても、「面白い」と感じられればヒントが生まれます。


予想と違うことが生まれた時に、
イライラする人と、面白いと感じてそこから何かヒントを
見つけられる人とに分かれます。まず、
あなた自身がまわりの邪魔になっていること、
踏んでいるものに敏感になることです。
「今自分はこんなものを踏んでいた」と気づくことです。
何か新しいものを習得することではありません。
習得は、技術をゲットすることです。
人間力とは、「feel」「find」のこと。
日本語でいえば、「気づき」です。
「ああ、そうなんだな」と気づくことです。


「『人間力』で、運が開ける」より抜粋

vol. 9475
「トランプの7並べで、「6を止めている自分」に気づく」  (2015/2/22 [Sun])
飛行機に乗る時に、通路をふさぐ人がいます。
「ここ、ここ」と言いながら、通路に立ったまま荷物を棚に
押し込もうとするため、あとの人が進めないのです。
「自分が今、流れをふさいでいる」と
いうことに気づくセンサーが必要です。
荷物を膝の上に置いたままいったん座って、
通路を行く人の流れが一段落してから
荷物を棚にしまえばいいのです。ところが、
棚のスペースを確保しようとして、
あわてて荷物をしまおうとする人がいます。
荷物の片づけは、通行の邪魔にしないような
段階になってからすればいいのです。


この感覚は、トランプにもあてはまります。
私が子どもの時、父親はトランプを教えてくれました。
実家が商売をしていたので、
トランプをやりながらでも商売の教育をされました。
たとえば、「7並べ」は、
できるだけ6と8を手札の中にとどめることで
相手を手詰まりに追い込むといった
駆け引きをするゲームです。これは実社会の反映です。


7並べの場合は、6や8を持っている人が強い。
意識的にそれを出さないこともできます。
最初の手札に6が何枚も来たら、そのゲームは
勝てる戦いになります。
それは、「6で全体の流れを止められる」という
意識を持てるからです。ところが、生活や仕事の
現場の中で「あんた、6を持っているのに
どうして止めているの。
もう、大迷惑」と思われている人がたくさんいます。
「6を早く出せよ」と言いながら、
実は自分が6を止めている人がいます。
通路をふさいで荷物を載せているオバチャンと
同じ状態です。こういう人は組織の中に多い。


見つけ方は簡単です。「早くしろ」「おまえら、遅い」と
言う人が止めている張本人です。
「自分が6を持っていて止めている」と
言う確信犯ならまだいいです。なかには、
自分の手札に6があることに気づかない人もいます。
人間力の怖さは、人間力がない、センサーが壊れている、
麻痺しているという自覚症状が本人にはないことです。


「自分よりあいつのほうがスキルがある」
「あいつのほうが仕事ができる」
「あいつのほうが英語ができる。TOEICの点数が高い」
と言うのは誰にでもわかります。
スキルや勉強に関しては、
自分がどういうレベルなのか、
まだまだ頑張らなければならないのかと言うことを自覚できます。
でも、人間力においては、自分のレベルを自覚できません。
自分がいつも通路を止めていることには気がつかずに、
文句ばかり言うようになるのです。


「『人間力』で、運が開ける」より抜粋

vol. 9474
「灰皿が置いてあっても、タバコを吸っていいとはかぎらない。インテリアとしての灰皿もある」  (2015/2/21 [Sat])
ホテルのロビーに行くと、灰皿が置いてあります。
「灰皿が置いてあるからこそここでタバコを吸っていいんだ」
と思って、タバコを吸う人がいます。そうすると、
「こちらは禁煙になっておりますので、
ご協力をお願いいたします」と
注意されたりしますそう言われてキレるお客様もいます。
「灰皿が置いてあるのに、なんで禁煙なんだ。
禁煙だったら灰皿を置くな」と文句を言う人は、
センサーが麻痺しています。


その灰皿をよく見てみましょう。実用から考えると、
どう見てもオシャレすぎたりします。
インテリアとしておかれている灰皿です。
「禁煙」というカードを置くのはオシャレではない。
ホテルはわざとおいていないのです。
B級レストランでは、「禁煙」「禁携帯電話」「禁ペット」と、
テーブルの上は禁止だらけです。
センサーの敏感な人は、まわりを見て
「みんなのところに灰皿が置いてあるのに誰も
吸っていないということは、ここは吸っては
いけない場所なんだ」と感じます。


灰皿がなければ、そこで吸おうとする人はいません。
「灰皿を持ってきて」とわざわざ言う人もいません。
インテリアとしての灰皿があった時が微妙です。
西洋型のクリスタルの灰皿が置いてある時は、
灰皿だとすぐにわかります。日本の陶器の場合、
「これは灰皿かな」と考えてしまうぐらい微妙な場合があります。


懐石料理のお店では、お皿が灰皿がわりになっていることもあります。
逆に、灰皿に見えたものが実は取り皿として使われている例も
けっこうあります。お店としては、お客様に恥をかかせないように、
わかりやすくする、統一感を出すといった工夫も必要です。
こうしたお店との暗黙のやり取りをするのに、
センサーが欠かせないのです。


「『人間力』で、運が開ける」より抜粋

vol. 9473
「新聞を読んでいる人を、ヒマだと決めつけない」  (2015/2/20 [Fri])
人間力が生かされるのは、日常生活の中です。
オフィスで新聞を読んでいる人を見ると、
「あの人ヒマでいいな」という印象を受けます。
新聞を読んでいる姿は、どうしてもヒマそうに見えます。
会社で新聞を読むのは損です。
もちろん、新聞を読んでいるからと言って、
必ずしもその人がヒマだとはかぎりません。


第三者から見ても、ヒマなのか忙しいのかはわからないのです。
一見忙しそうにしている人が、
実はとてつもなくヒマだったりすることもあります。
日本人の組織の中では、忙しそうにする
演技ができるようにトレーニングされているので、
自然と身についていたりします。
新入社員は演技がヘタですが、
10年、20年もキャリアを積むと、
忙しぶるのがうまくなります。


その能力を評価してもらえる古い組織もあります。
会社の中で新聞を読まないことは、
自分がヒマそうに見えない1つのテクニックです。
新聞を読んでいると、
面倒くさい雑用を言われて残業することになったりします。
でも、「新聞を読んでいる人はヒマだ」と
決めつけるのは危険なことです。
新聞を読んでいるからヒマだとは限りません。
人に何か頼み事する時に、
「新聞を読んでいるから、あの人に頼もう」と
すぐ判断するのは早すぎます。
もう少し寄ったり、引いたりして、
センサーを働かせてみることが大切なのです。


「『人間力』 で、運が開ける」より抜粋

vol. 9472
「レクサスのお客様は、道を歩いている人より、車で通り過ぎる人」  (2015/2/19 [Thu])
トヨタ自動車が、人気高級車「レクサス」の
ショールームを新しくしました。
リッツカールトンに研修してもらい、
従業員のサービスのレベルを上げているのも特徴です。
カーディーラーのお客様には、

1.ショップの中へ入ってきた人 
2.道を歩いている人 
3.車で走っている人 
の3通りがあります。


サービスマンは中に入ってきたお客様に
対してはとてもていねいです。
サービス精神旺盛で、おもてなしをします。
これは当たり前です。人間力の問題ではありません。
でも、お店の前の道を歩いている
お客様とは言葉のやり取りをしません。


カーディーラーのお店はガラス張りなので、
外からもよく見えます。前を歩いている人は、
飾ってある車も、働いているディーラーさんの
立居振舞のすべて見ています。
道を歩いているお客様が、
「ここに入ってみよう」と思えるかどうか。
入ってきたお客様にはペコペコして、
お客様が来ない時はヒマそうにタバコを吸っているのは、
外を通っている人からもよく見えます。


ショールームがきれいになればなるほど、
中で働いている人に目が行くようになります。
車を運転している人やタクシーに乗っている人も、
通りすがりにショールームの中を見ることがあります。
車で走っている人といつでも目が合うように、
サービスマンがきちんと立っていることも大切です。

レクサスのショールームは、車で走っている人の
目線を意識してつくられています。
タクシーや誰かの車に乗っていて景色を見る機会があったら、
とくに朝早い時間、夜遅い時間など、
人が出歩いていないけれどもお店が空いている時間帯に、
中で働いている人たちがどういう立居ふるまいをしているか、
ぜひ見てください。もしかしたら、通りすがりの
お客様を観察しているサービスマンと目が遭うかもしれません。


カーディーラーのお客様になるような人は、
目の前の歩道を歩いているより、
車道を車に乗って通りすぎる人が多いはずです。
車道を何人の人が通るかを考えると、膨大な量になります。
車で走っていく人たちがショールームを見ています。
すでに車のオーナーで、
今度車を買い替える時にどうしようかと思っている人もいます。
車道から見られているという意識がディーラー側に
あるかないかでお店の空気が大きく分かれます。
ショップの中や歩道からの目線しか考えていない人は、
サービスマンとしてのセンサーが鈍いのです。


「『人間力』で、運が開ける」より抜粋

vol. 9471
「ピラミッドは、奴隷ではなく、ボランティア活動で構築された」  (2015/2/18 [Wed])
技術と人間力の関係性で歴史を見ると、面白い解釈が生まれます。
通常、私たちは歴史を「技術の歴史」として習います。
その技術は、本当は人間力から生まれたものです。
ピラミッドをつくることのすごさは、どれだけ重い石を運ぶか、
きっちりとした四角すいをつくるかということだけではありません。
そこで働く人たちがヤル気を失わずにつくることは、
一種の人間テクノロジーです。


映画で、奴隷の人たちが石を運んでいて、
「働け」とパシッとムチで叩かれているシーンがあります。
あの状態で2万人が10年間も働き続けることはありえません。
ヤル気がなくなって逃亡する人もいれば、死ぬ人もいます。
あれだけ高度な技術のピラミッドをつくるのに、
プロの設計技師が一人だけいて、あとは2万人のシロウトだけ、
という組み合わせのわけがありません。
技術、工程管理、人材育成、情報伝達、食糧など、
それぞれの分野のエキスパートが必要です。
養成する段階において、まずはエキスパートに
モチベーションを与えることも必要です。


ピラミッドの構築にしても、日本の古墳の造営に関しても、
巨大な歴史的なモニュメントをつくるという大プロジェクトは、
常に農閑期に行われました。
ふだんは自分の田んぼの作業があります。
田んぼのヒマな時に働きに来てもらうのです。
その働きは奴隷ではなく、いわばボランティア活動です。
「こういうすごいことをやるから、みんなでやらないか」
とその気にさせる技があったのです。そうしないと、
ピラミッドのような巨大なものはつくれません。
ムチで叩かれてつくったものは、必ず崩壊します。


王様の権力・威厳や恐怖政治でつくるのではありません。
王様のカリスマ性・人気があることによって、
「王様のためにやろう」という気持ちが起こらないかぎり、
ああいう偉大な事業は成り立ちません。
ところが映画になると、「働け」と、ムチでパシッと叩いたりします。
それでは暴動が起こります。
奴隷もあまりいじめると反乱を起こすのです。


「『人間力』で、運が開ける」より抜粋

vol. 9470
「どんな兵器を持っているか」ではなく、「何を食べているか」で、勝敗が決まる」  (2015/2/17 [Tue])
「どんな兵器を持っているか」ではなく、「何を食べているか」で、勝敗が決まる」

戦艦の中で最も威張っているのは、
戦っている人ではなく食糧部です。
メニューの中でカレーは大人気です。
揺れる舟の中でもカレーは食べやすいのです。
食糧部は、訓練時、実践時、平時に分けて
どれぐらいの疲労度があるか、勤務状況を
見ながら食料のバランスを考えます。
食糧部がどれだけ真剣に栄養バランスを考えているか、
優秀かどうかで戦闘能力が変わります。


いつの時代にも無敵艦隊がありました。まずは、
スペインとポルトガルが世界を航海する技術を培って、
戦争で強くなりました。次はオランダが強くなりました。
その次はイギリスが強くなりました。
オランダが最強だった時代に、
イギリスは各寄港地で果物と野菜を積むようになりました。
船乗りに一番多い病気は脚気でした。
ビタミンB%uE28281が足りないからです。
脚気になると、倦怠感が起こるので戦えません。


大砲でも、航海術でもなく、食糧の補給を上手に行うことによって、
イギリスは無敵艦隊の冠を手に入れたのです。
戦争では兵力が重視されます。
でも、最終的には、どんな兵器を持っているかではなく、
何を食べているかという人間力の勝負になります。
第二次世界大戦で、日本は技術ではなく、
人間力をおろそかにして負けたのです。
初期の日本が強かったのは、
人間力の強さがあったからです。
日清・日露戦争の頃は、技術力がない分を
人間力でカバーしました。ところが、
いつの間にかそれが逆転していったのです。

「『人間力』で、運が開ける」より抜粋

vol. 9469
「ピラミッドを作る2万人のために、1日6万食つくるパン職人がいた」  (2015/2/16 [Mon])
未来予知能力は、妄想力とも言えます。
「もしここで地震があって閉じ込められたらどうしようか」考える力です。
「もしこの電車で無人島に到着したら、誰がリーダーシップを取るだろう」
「食料はどうするだろう」ということを考えたりします。
たとえばエジプトのピラミッドは、
「巨大な岩を頂上まで持ち上げたことが凄い」という議論ばかりが出ます。
これは技術力の話です。そればかり言っていると、
ベースとなる人間力の話が出てきません。


私は巨大なイベント、大きなプロジェクトがあった時に、
人間力の側面で考えます。ピラミッドづくりの作業では、
1日2万人が働きました。「1日2万人分の食料は
どうやって準備するのか」と考えます。当時はパンなどを食べています。
1日2万人ということは、朝・昼・晩で6万食も必要です。
6万食のパンを焼くためにはどれだけのかま、
何人のパン職人が必要となるでしょうか。
運搬の手間を考えると、かまはピラミッドのすぐそばに
なければなりません。これが人間力の発想です。


パン職人も、現実問題としてはどこからか連れてくるだけでなく、
育成もしなければならないだろう、育成するためにはどれぐらいの
期間が必要かと考えます。ピラミッドの石を運ぶだけでなく、
パン職人の育成も大きな課題です。
パン職人たちはモチベーションを持って働きます。
手を抜き始めたら成り立ちません。
パン職人がヤル気をなくして逃亡したら、
そこで働いている人たちの食料が作れずに工期が遅れて支障が出ます。


土台のところで「弁当が出ないなら、このあたりの石が
きちんとかんでいないけど、まあいいか」という気持ちになると、
上のほうはどんどん傾いてしまいます。どんなにきっちり計算して、
その技術力があっても、人間力のベースが
しっかりしていないと崩れてしまうのです。


「『人間力』で、運が開ける」より抜粋

vol. 9468
「行きに、「帰り道の混み具合」を、見ておく」  (2015/2/15 [Sun])
たとえばA地点からB地点のタクシーで移動します。
その時に、ほとんどの人が、今走っているB方面の車線について
「混んでいる」「すいている」という表現をします。
これは誰でも意識できます。すでにタクシーに乗っているのに、
今走っている車線を「混んでいる」「すいている」と言っても始まりません。
たとえ渋滞でも、今さら電車に乗り換えることはできません。
ここで人間力の差が出ます。人間力のある人は、
今走っている道に対して「混んでいる」「すいている」という議論はしません。


人間力がワンステップ上がると、行きの間に帰り道の
混み具合を判断します。目的地へ行って1時間で用事を済ませ、
さらに帰りも同じ道を通るなら、帰り道が混んでいるかどうかを
行きに確認しておくことが大切です。上りと下りでは、
道の混み具合が違います。片側が混んでいる時に、
もう片側がすいていることが圧倒的に多い。


危険なのは、行き道がすいていた場合です。
行きはすいすい進むので「すいていてよかった。
早く帰れそうだからお茶でもしよう」と余裕のつもりでいて、
帰り道に大渋滞に巻き込まれるのです。
行き道がすいている時でも、「反対車線は混んでいるな。
帰りは電車にしよう」という判断をすることが大切です。
これが1時間後の予測力です。


未来予測をする必要はありません。
100年後にどうなるかという予測ではありません。
1時間後に同じ道を帰る時に、
タクシーに乗っていいのかどうかという予測です。
今走っている道ではなく、帰り道がすいているのか
混んでいるのかをチェックしておく。
「ここでこんな工事をやっているから、帰りは電車にしたほうがいい」と
判断することがセンサーの役目です。
これを習慣的に行うのが人間力です。
ただタクシーに乗って文句を言ってイライラしているだけでは、
時間の無駄づかいです。


行き道は混んでいるのを予測するのはむずかしい。
帰りはタクシーにした方がいいか電車にした方が
いいかという判断は、行きの段階で見てきたことが基準になります。
見ようと思ってみていなくても、なんとなく帰りの道はすいていたかな、
どこかで工事をやっていた、事故車両があったな、
と思い出せるかどうかです。
人間力は、自分の頭の中で見た映像を再生できる力です。


ご飯を食べに行って、それが「おいしい」「おいしくない」と
言う議論ではありません。「今日、となりのテーブルにいた
お客様がこんな話をしていた」ということが思い出せるかどうかです。
「あなたがどう見ているか」だけではなく、
そういうところでは「あなた自身も見られている」のです。


「『人間力』で、運が開ける」より抜粋

vol. 9467
「『ありがとう』と振り返ることで、タクシーでの忘れ物を妨げる」  (2015/2/14 [Sat])
私は何かに集中してしまうタイプなので、よく忘れ物をします。
電車に乗って自分の指定席に座れたためしが
ないというぐらい勘違いも多いです。
1つのアイデアがあると、それをぐんぐん追いかけて
「心ここにあらず」の状態になります。
自動販売機で自分の買いたいものと
全然違うものが出てくることは日常茶飯事です。
「これを買おう」と思って、
目に入った商品のボタンを押しているつもりなのに、
全然違うものが出てくるのです。
パソコンのキー操作によって何百億円もの資金を動かす
ような金融機関では働けないタイプです。
だからこそ、逆にセンサーが敏感なのでしょう。


私がタクシーを降りる時は、「ありがとうございました」と
運転手さんに言います。そして車を降りてから、
運転手さんにもう1回「ありがとうございました」と言います。
この時、後部座席をチラッと見ることができます。
これがタクシーで忘れ物をしないためのコツです。
忘れものをするのは、運転手さんがムッとしていて、
「このタクシーから早く降りたい」と思っている時です。
こんなタクシーの運転手さんに「ありがとうございました」
なんて言うもんか、1秒でも早く出たいと思うと、
プイッと次のところへ目線がいくので
後部座席をチェックできません。


一方で、いい感じの運転手さんには
「どうもありがとうございました」と言いながら、
降りる時に車内に体が向きます。そうすると、
後部座席に財布が落ちているのに気づくことができます。
これがセンサーです。運転手さんに「ありがとうございます」と
言うことによって、自分自身の忘れ物を防ぐことができるのです。
忘れ物をして、「なんで運転手さんは気づいてくれなかったのか」と
文句を言うのは、椅子にぶつかって「もう」と怒るオバチャンと同じです。

「『人間力』で、運が開ける」より抜粋

vol. 9466
「お皿のフタは、勝手に開けてはいけない」  (2015/2/13 [Fri])
接待でフレンチレストランに行きました。
メイン料理が運ばれてきた時に、
お皿にフタがしてあることがあります。
あのフタを「クロッシュ」と言います。
クロッシュをすぐに自分であける人は
基本的に優しい人ですが、センサーが今ひとつ
足りていません。クロッシュはさわってはいけません。
接待のテーブルに4人いたとします。
4人のウエーターが息をそろえてクロッシュを開け、
みんな同時に「わあっ」と盛り上がる瞬間が台なしです。
お店の人ががっかりします。お客様にとっても、
今、この場を盛り上げようとしている演出を
壊さないようにすることが大切です。
こういう演出に気づくセンサーを持ちましょう。


たとえば、イベントに行って、主催者からお弁当が配られました。
食べようか食べまいか、迷うことがあります。
中身を見てから「やっぱりいいや」となると、感じが悪い。
食べないことは失礼ではありません。
「いま、おなかがいっぱいだから」「あとで会食があるから」
「さっき食べたばかりだから」という理由は成り立ちます。
中身を見てからやめると、主催者に対して失礼になります。
「しょぼいお弁当だから食べるのやめた」
ということになってしまいます。主催者側は
「お弁当の経費を節減したのがよくなかった」と反省します。


気遣いの上手な人は、ほかの人が空けている時に中をチラッと見る。
自分の分をあけたら、食べる。それでいいのです。
中身を見て「やっぱりやめます」というのは、
相手の気持ちに対してのセンサーが働いていません。
センサーを働かせると、最終的に自分自身の
プラスとなって返ってきます。自分のためにやっていることは、
自分には返ってきません。他人のためにやっていることは、
あなたのためになるのです。

「『人間力』で、運が開ける」より抜粋

vol. 9465
「机に、カバンを「どんっ」置くと、アイデアが逃げる」  (2015/2/12 [Thu])
会議が始まる時でも、机の上にカバンを「どんっ」と強く置く人がいます。
これはほとんどの人が何気なしにやっていることです。
机に神様が存在すると考えると、カバンを「どんっ」と
置くことは失礼に当たります。机の上にはそっと置くことが大切です。
「さあ、今日はみんなで画期的なアイデア会議をしよう」と言って、
「どんっ」と置いた瞬間に」、その場からアイデアはもう出ません。
余計な物音を立てないようにしましょう。


ガタンという音をさせた瞬間に、アイデアの神様はそこからいなくなります。
ガサツな行動をする時は、センサーが麻痺している状態です。
自分がよけいな物音を出していることに気づくセンサーを持ってください。
何かに夢中になっている時ほど、自分が変な物音を出していないか、
気をつけます。まわりに不快感を与えるような物音を
出していないかというセンサーを働かせます。


たとえまわりに人がいなくても、会議室に入って
「さあ、やるぞ」と机の上にカバンや書類を「どんっ」と置くと、
その場にいる神様を追い出してしまいます。
人がいる時だけでなく、人がいない時にも、
無意識にセンサーの電源をオンの状態にするのです。

「『人間力』で、運が開ける」より抜粋

vol. 9464
「食べ終わったあとのおわんのフタは、裏返しに重ねない」  (2015/2/11 [Wed])
親切のつもりでやったことが、お店の人には迷惑なこともあります。
たとえば、汁物の料理がフタ付きのおわんに入って来ました。
食べ終わったあと、フタをそのままもとへ戻すと、
食べ終わったことがわかりにくいです。
仲居さんが迷わないように、「食べ終わりました」という意味で、
おわんに裏返ししてフタをする人がいます。
これはお店としては最も迷惑なことです。


おわんの上には、繊細なつくり化粧がしてあります。
フタを裏返すと、ふちに当たったりして絵柄がこすれて、
そのおわんが使い物にならなくなってしまうことがあります。
センサーのある人は、フタを裏返すとおわんの絵柄に
傷がつくのではないかと気がつきます。
そう考えると、そのまま普通にフタをするか、
あるいは横へ置いておくことになります。
どちらでもかまいません。こうした気配りができるのが、
お店の人から感謝されるお客様です。


逆に遠慮ばかりしている人も、往々にしてセンサーが麻痺します。
「スリッパをお使い下さい」といわれた時に、
「いや、けっこうです」と裸足のままドカドカ上がると、
自分の靴下のホコリや足の脂が家の中に上がってしまいます。
せっかくきれいに拭いてある床に足跡がベタベタつくのです。
「履いてもらわない困る」という意味でスリッパを使うように
言われていることに気づいていません。
時には、あなたが気をつかっていることが相手にとっては
迷惑になる場合もあるのです。
「すべてのものに仏様が存在する」と考えれば間違いはありません。
すべてのものが何らかのメッセージを発していると考えればいいのです。


「『人間力』で、運が開ける」より抜粋

vol. 9463
「引き戸は、ドアよりも繊細なセンサーが求められる」  (2015/2/10 [Tue])
行動する時の基準が「マナー」だけの人は
新しいシチュエーションになると、対応できません。
根本的な人間力をつければ、「こういう時はどうしたらいいか」、
とさまざまな場面において、対応できます。
自分のセンサーを基準において、
どうしたらいい正しいのかを判断しましょう。


飲み屋に行くと、のれんが下がっていて、
ガラガラッとあける引き戸があります。
その時に、あけてはいけない側の戸から入る人がいます。
レジ台やカウンター、お客様の背中があったりして、
すぐに「こっちじゃなかった」と気づきます。
反対側を開ける人はまだ大丈夫です。
引き戸は取っ手がありません。
金具でできた引手の部分が指をかける場所です。
そこを持って開けるのが正解です。


ところが、センサーのない人は格子の細い木に手をかけます。
それを頻繁に繰り返すと、引き戸は壊れます。
どこを持って開けてもいいわけではありません。
引き戸に比べると、西洋式のドアはノブ以外のところに
手をかけて開けることもできません。
日本の引き戸は、格子に手をかけて開けることもできます。
でも、それをやるとオシャレではありません。
きちんと引手のところに指をかけて開けるしぐさが美しい。


たとえば京都のお店では、引き戸を開けるしぐさで、
このお客様はきちんとした人かどうかを判断します。
格子を持ってガラッと開ける人が入ってくると、
「すみません。今日は終わりなんです」と言います。
きちんとした所作のお客様なら、その後にきても断られません。
成功の神様は、京都式の判断基準をとっています。
先に来たか、あとに来たかではなく、その人がどれだけの
センサーを持っているかで判断します。
世界中のどんなドアを開ける時も、
どこを持てば壊れないように意図してつくられているのか
という基準で考えれば迷うことはないのです。


「『人間力』で、運が開ける」より抜粋

vol. 9462
「どんなに鈍感な人でも、枕の上に平気で建てる人はいない」  (2015/2/09 [Mon])
「人間力」はすべてのものから人間を感じ取る力です。
センサーが敏感かどうかは、人間力に通じるところがあります。
別の言い方をすると、あらゆるもの、あらゆる人間に
神様の存在を感じることが人間力です。
どんなにマナーの悪い人でも、
枕の上に立つことには抵抗があるはずです。
「おれは怖いもの知らずだ」と言う人も、
枕を踏みそうになるとよけます。
「枕を踏んではいけない」と言うのは、
人間力の一番根本的なことです。
これは誰もが持っている能力です。
あとはこれに目覚めていくだけです。
人間としての余裕があれば、むずかしいことではありません。

枕は踏めなくても、畳のヘリは平気で踏む人がいます。
畳のヘリを踏んではいけないというのは、
マナーだけの話ではありません。
畳のヘリを踏むと、畳が傷むのです。
畳のヘリを踏まないように歩くことで、
自分の歩き方も制御できます。
自分が今どこを歩いているか、
気を払うことができるのです。
引き戸をガラガラッとあけて、
敷居を平気で踏む人がいます。
敷居も痛みます。どこの家に上がる時でも、
そこの神様にあいさつする、
敬意を払うという意味で、
敷居は踏まないようにしましょう。
「今、足の裏で何か踏んだ」と、
足の裏のセンサーをより敏感にすることで、
踏まない習慣をつけることできるのです。


「『人間力』で、運が開ける」より抜粋

vol. 9461
「人とぶつかりそうな時は、相手先に行ってもらう」  (2015/2/08 [Sun])
スピードスケートには内側と外側のコースが交差するゾーンがあります。
この入れ替わりがうまくいかないと、いい記録は出ません。
日常生活にも人がすれ違う場面があります。
あなたが歩いていると、右前方から人がきました。
あなたが行こうとする方向とぶつかります。
X字にクロスしそうになる時に、あなたがどう対応するか。


ぶつかる人は、完全にセンサーが麻痺しています。
向こうから人が来て、今のペースで行くとぶつかりそうな時に、
ほとんどの人がスピードを上げます。
相手がくる前に通り過ぎようとするのです。
一見、この方が簡単です。今まで歩いてきたのだから、
急に止まるよりも慣性の法則に従って歩き続けるほうが楽です。
そのままスピードを上げるほうがよけやすいと考えるからです。
では、「自分が今、この状態で行くとぶつかるぞ」と
感じた時は、どうしたらいいでしょう。


ぶつからない解決策として、まず条件反射的に
「よし、あいつが来る前にここを通り過ぎよう」と考えます。
その判断も間違いではありません。
でも、相手も同じことを考え、同じように行動するかもしれません。
「待てよ。相手はどうするだろうか」と考えるのが次のステップです。
「相手もひょっとしたら加速するかもしれない。
加速したもの同士がより強い衝撃でぶつかる可能性がある」と予測します。

歩いていて真正面に来た人をよける時に、
「オットットット」と両方で同じ側によけたために、
前に進めないことがあります。ここで運動神経のある人は、
ぶつかりそうになった時に自分の体を止めて、
相手を先に行かせることができます。
これがすぐれたセンサーを持った人です。
レベル的にも人間力が高い。
動いていた体を一瞬止めるのは、むずかしいのです。
自分の動きを止めて安定させ、相手を前に行かせてから
次の行動をするという動きです。相手が物体なら簡単です。
相手が人間だからむずかしい。


たとえば自動ドアの前に行くと、人は一瞬止まります。
一度止まって、自動ドアが開くのを確認してから入るはずです。
「一瞬、動きを止める」と言うのは、こういうことです。
誰でも意識すればできます。身体的なトレーニングは必要ありません。
自動ドアと言うものの動きを知っているからできるのです。
自動ドアは反応が遅かったり、時にはいったん下がって
もう一回前に進まないと感知しないセンサーもあります。
人間とぶつかりそうになった場合によけられないのは、
身体的にできないのではなく、
精神的にそれをやろうとする意識がないからです。


「『人間力』で、運が開ける」より抜粋

vol. 9460
「ペットを飼うと、センサーが敏感になる」  (2015/2/07 [Sat])
車の運転が上手な人は、前の車の動きから
「この人は車の運転がヘタで、ドキドキしている人だ」
と感じ取れます。「この人は運転がうまい」
「この人は週末ドライバー・ペーパードライバ―で
運転がヘタだからドキドキさせると事故を起こして巻き込まれる」
「いきなりキュッとハンドルを切ったり、
急ブレーキをかけるかもしれない」と感じ取れるのがセンサーです。


これを身につけることが、人間力です。
私は豆柴犬を飼っています。家の中で犬を飼うと、
センサーが研ぎ澄まされます。犬は気がつくと音もなく後ろにいます。
一歩下がった時に犬を踏んでしまったら大変です。
とくに台所にいると、犬はおやつをもらおうと思って寄ってきます。
センサーを研ぎ澄ましていれば、後ろに下がる時にもかかとに
体重をかけず、すぐに体重を移動できるので、
犬を踏むことはありません。こうしたセンサーの敏感さが、
犬を飼っていることのメリットです。
夜中に暗がりでトイレに行く時も、足に何か当たると
「ごめん、ごめん」とすぐ言います。
よく見ると犬のおもちゃでした。
「こんなところで寝ていたんだ」と思って、
すぐに「ごめん、ごめん」と言いながら、
足にかかったら体重を抜く技術が身についたのです。


私は、燕尾服を着て気取って踊るボールルーム・ダンスをやっています。
上手にステップを踏めるのが上手なダンサーではありません。
ホールで踊る時に、まわりの人にいかに
ぶつからないように踊れるかがポイントです。
ぶつかりそうになった時に、余裕をもって止まれることが大切です。
上手なダンサーはぶつかりません。スキーと同じです。
上手なスキーヤーはほかの人にぶつかりません。
必ず上手なほうの人がよけます。これが人間力の大原則です。

よけることができるのは、センサーの敏感な人です。
文句を言うのは、センサーの鈍い人です。
町を歩いていて誰かとぶつかった、
狭い室内で誰かとぶつかった、のようなあらゆるぶつかり事は、
この原則に当てはまります。「なんだ」とムッとしたり、
あなたが何か文句を言う状況になったら、
「相手よりも自分のセンサーが鈍かったんだ」と振り返って反省することです。

「『人間力』で、運が開ける」より抜粋

vol. 9459
「ぶつかったことに気づけるのが、人間力だ」  (2015/2/06 [Fri])
『人間力』というのは抽象的な言葉です。
具体的にどうしていけばいいか考えましょう。
まず、センサーを持つことです。
別の言い方をすると、五感です。
どの程度すぐれたセンサーを持っているかが勝負です。


たとえば、レストランでお客様が椅子に座っています。
狭い店や混んでいる店では、後ろを通る時に
椅子にぶつかるオバチャンがいます。
そういう時のオバチャンは「痛っ」というリアクションをします。
自分が痛いというリアクションだけです。
これも一つのセンサーです。
ぶつかって痛いと感じるのは、
自分だけのセンサーです。
「痛いなぁ、もう」と言って通り過ぎます。
ところが、この椅子に人が座っているという意識はありません。
「今、自分がぶつかった椅子には人が座っていて、
その人に衝撃を与えた」ということに気づくのが人間力です。


自分の行動によって他人にどういう衝撃を与えてしまったか。
これに気づくかどうの差はとても大きいです。
椅子にぶつけられたのではなく、自分がぶつかっていったのです。
「そのぶつかった椅子には、誰かが座っている」と
いうことを感じ取れるようになりましょう。
椅子にぶつかった時は、「痛っ」ではなく、
「すみません」と言うのです。


「痛っ」と言うと、椅子に座ってじっといていた人に
対しての文句になります。椅子に座っている人に、
ぶつかった衝撃だけでなく文句までぶつけてしまっているのです。
センサーが麻痺して、それすら気づかない人もいます。
日常生活はこんなことだらけです。
ぶつかって「痛っ」と文句を言う人は「すみません」の気持ちがありません。

もちろん逆のパターンもあります。
センサーが麻痺している人は、後ろを確認しないで、
いきなり椅子を弾いて立ち上げります。
たとえばブッフェ形式のレストランで、
料理が山盛りになったお皿を持ったお客様が椅子の
後ろを歩いていて、ぶつかったら大変なことになります。
立って歩いている人も、座っていてこれから立ち上がる人も、
お互いに気づくセンサーが必要なのです。


「『人間力』で、運が開ける」より抜粋

vol. 9458
「技術も、人間力で差がつく」  (2015/2/05 [Thu])
これから先、1000年の技術をつくるのは、
テクノロジーの勝負ではありません。
人間力の勝負です。
講演では、ホワイトボードの真ん中にテーマを
書いておくと、話がそれてももとへ戻せます。
でも会議で話が盛り上がっていると、
最初のテーマを忘れてしまうことがあります。


ノートに書いたり、メモする時も、
ただ並列に書くのではテーマがあいまいになってしまいます。
何から何に変えていくかを、
左のほうから右のほうへシフトするイメージでとらえましょう。


上のほうに、忘れないようにその日のテーマを書きます。
左のほうに、今まではこうだった、右のほうに、
これからしなければいけないことを書きます。
それを書いておくと、あとで自分なりの
感覚として整理がつきやすいです。


「今年や来年に流行るもので一発当てよう」と
いうせせこましい話は、人間の志としてあまりにもチープすぎます。
そんなレベルをやりたいなら技術力の勝負だけで勝てます。


これから1000年の技術、西暦3000年の人たちも
使うような技術を考える勝負というのは、人間力がベースです。
人間力のベースから生まれない技術は、
来年は流行っても再来年は次の技術にまけます。
そんなものはつまらないです。

「『人間力』で、運が開ける」より抜粋

vol. 9457
「技術的なスキルより、人間的スキルで差がつく」  (2015/2/04 [Wed])
社会人は、プロになるためのスキルを身につけなければなりません。
スキルには、1.技術的なもの 2.人間的なもの の2通りがあります。


社会に出て一番大切なのは、
技術的なスキルを覚えることではありません。
実は人間としてのスキルができていないと、
技術的なスキルをどんなに覚えても生かせないのです。
伸びていく人かどうかの差は、技術的なスキルではつきません。
人間的なスキルで差がつくのです。
人間的なスキルがベースにあって、その上に、
技術的なスキルが上乗せされるのです。


人間的なスキルとは、たとえばあいさつです。
「行ってきます」「行ってらっしゃい」、「ただいま」「お帰りなさい」、
「ありがとうございます」「ごめんなさい」を言えることが大切なのです。
「こんいちは」と「いらっしゃいませ」は、似ていますが、
根本的に違います。「いらっしゃいませ」は
「何かお探しですか」という、商品を売るうえでの技術的スキルです。
「こんにちは」は、商品を売るよりも一歩手前の、人間的スキルです。
技術的なスキルである「いらっしゃいませ」よりも、
「こんにちは」を言える人が社会人として伸びていくのです。


美容師さんの場合、どんなにヘアカットのテクニックや、
ハサミの使い方がうまくて、デザインセンスがあっても、
お客様とのやりとりができなければ、指名してもらえません。
ベースとなる人間的なスキルを「社会人のあかちゃん」と
して覚えていくことが大切なのです。
「自分はテクニックについて勉強したから詳しい」と
自負する人は、得てして傲慢になります。


底辺となる人間としてのスキルがやせ細ると、
不安定な逆三角形になります。
これでは「私はこんなに仕事ができるのに、
何で評価されないのだろう」という間違った
認識になってしまいます。技術的に何も知らない人、
経験もない人ほど、人間的スキルで補っていきましょう。
技術や経験を人間的なスキルで補っていこうと
する人のほうが、社会では評価されるのです。


人間的なスキルのある人は、どこへ行っても適応できます。
技術的なスキルだけで生きていこうとする人は、
つぶしが効きません。社会では通用しないのです。
基本的には、まず最初に就職した会社で、
プロになることです。大切なのはそれだけではありません。
今は、会社がどういう業態になるかわからない世の中です。
何をやろうが食べていけること。
そのためには、人間的スキルや、
がっちりとした底辺をつくり上げること大切なのです。

「『人間力』で、運が開ける」より抜粋

vol. 9456
「IT時代だからこそ、生のコミュニケーションで差がつく」  (2015/2/03 [Tue])
今は、すべての業界が、通信業界です。
通信業界というと、ハイテクで世界中とつながっていて、
デジタルなイメージがあります。
ほかの業界と違う何かがあると思いがちです。
通信業界とは、コミュニケーション会社という意味です。


通信業界で大切なことと、ビジネスマンとして大切なことは、
実は同じです。いかに、人と人とのコミュニケーションができるかです。
大切なのは、顔を合わせた人間と人間のやりとりです。
デジタル機器ですべてのコミュニケーションや情報交換が
できると思い込んでいると、大きな間違いです。


コミュニケーションの原点とは、3つです。
1.知らない人と会うこと 
2.足を運ぶこと 
3.あいさつをすること 要するに、
人間として基本的なことが求められているのです。
テクノロジーの勉強はもちろん必要です。
それ以前に、コミュニケーションの勉強は、
学校では教わりません。


学校には、先生から生徒という一方通行の情報の
流れしかありませんでした。
テストには、○か×しかありませんでした。
でも、コミュニケーションには、無限の△があるのです。


学生時代は、学校や家族の中だけで暮らしていれば、
まわりは知っている人だけです。
知っているもの同士では、コミュニケーションなんか
勉強しなくても、やっていけました。でも、
社会に出たら、知らない人とつきあっていくことになります。
知らない人と話をするコミュニケーションを1から
覚えていくことになるのです。
それまでやってきたこと、習ったことは生かせません。
マン・ツー・マン、フェイス・ツー・フェイスの
コミュニケーションを勉強していくことが大切です。

「『人間力』で、運が開ける」より抜粋

vol. 9455
「恋愛で気持ちが切り替えられないのは、仕事では切り替えられることが原因」  (2015/2/02 [Mon])
恋愛では切り替えられない」と言う人がいます。
では、仕事ではどうやって切り替えているのでしょうか。
仕事では切り替えられるのに、
恋愛では切り替えられないということは、
逆にそれだけ恋愛にこだわって一生懸命やっているということです。
逆に、仕事で手を抜いている可能性があります。


プライベートなことであきらめなければならないことがある時に、
いつまでもそれをグジグジ考えているのは、
仕事をキチンとやっていないからです。
仕事も恋愛も切り替えられないのなら、
別の原因が考えられます。


でも、仕事では簡単に切り替えられるというのは、
根本的に「切り替えられない性格」なのではありません。
もしかしたら、仕事に対しての情熱を失っている可能性もあるのです。


逆に、「仕事がいまいち燃えないので、恋愛でもするか」
というふうに、逃げ道として恋愛を求めていくようになります。
そうすると、その恋愛はうまくいきません。


人間は、恋愛でうまくいかないことがあっても、
仕事を一生懸命にやっていくことで忘れられます。
切り替えられないということは、ヒマになっているのです。
切り替えようと思って、切り替えるのではありません。
切り替えざるを得ないところに追い込まれることで、
つらいことを忘れられたり、あきらめられるのです。


忙しくないと、そのことばかり考えるようになります。
仕事で切り替えられるということが、
プライベート切り替えられない根本の原因だったのです。
切り替えられないくらい仕事にこだわって、
今まで以上にとことん打ち込んでみましょう。
そうすれば、恋愛でも、気持ちを切り替えることができるようになります。

「『人間力』で、運が開ける」より抜粋

vol. 9454
「嫌いな人との仕事で、やりたいことが見つかる」  (2015/2/01 [Sun])
嫌いな人と仕事をするのは気が重いので、
どうしても後まわしにしがちです。
そうすると、イヤな気持ちがずっと残り、
その仕事がよけい重荷になります。
その仕事の占める比率は少ないのに、
あなたの仕事全体が重苦しい空気になってしまうのです。


こういう時は、仕事のプロとして、
嫌いな人との仕事ほどスピードを上げて、
さっさと片付けてしまうことです。
そのときに、手を抜いたりすると、
仕事がよけい遅くなって、長くかかわることになります。
「好きな人との仕事は一生懸命にやり、
嫌いな人との仕事は一生懸命やらない」と言うのは間違いです。

好きな人との仕事は、その人に認めてもらうために、
一生懸命やればいいのです。嫌いな人との仕事は、
その人から早く逃れるために、一生懸命やりましょう。
その結果、好きな人と、より多く時間を過ごせるようになるのです。

「『人間力』で、運が開ける」より抜粋

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