「ニュープレス機登場!」
  • 2015年06月29日


この5月に新しい前身頃プレス機を君津工房に導入しました。
そのプレス機を設計したのがドイツ人のマックス ブリンクマンさん。

このブリンクマンさん、イタリアのメンズブランド「カナーリ」の縫製工場用各種レス機を設計した人です。ちなみにアメリカの大統領オバマ氏が愛用していてるのがこのカナーリです。そして、イタリアの「コルネリアーニ」の縫製工場用プレス機も彼がを設計しています。


そのブリンクマンさんに設計製作してもらったのが今回導入したこの前身頃プレス機です。当然、これはクリーニング屋さん用のモノではなく縫製工場専門のプレス機です。


これまでのジャケットプレスは、胸の膨らみを出すために、ハンドアイロンで時間をかけてくせ取りいせ込みをして、立体的なシルエットを出していました。

しかし、このプレス機が導入されてからというもの、より短時間で立体的なシルエットが出せ、なにより湿気が多くてもそのシルエットを持続させてくれる実に強い味方が現われてくれたわけです。


ただ、ゴルフ場のグリーンのように様々な起伏のあるプレス機ですから、ジャケットをセットする位置がとっても重要です。赤いライトを袖付けに合わせて全体の位置を調整し、ボタンの下やポケットの雨蓋は、メッシュシートを置いて当たりを防ぎます。


それでは、プレス開始。
君津工房にこのプレス機を設置してからというもの、これからプレスすることになる様々な素材のジャケットを用意していくつものプログラムを作り、テストを繰り返してきました。


プレス時間や、スチームの秒数、ベーキングの秒数の設定はもちろん、一度のプレス工程の中で、圧力を徐々に強くしたり弱くしたりすることもできる優れモノなのです。ただ熟練しないと、誰でもというわけにはいきません。


さて、プレス後はプレス機で押した部分の境目をハンドプレスで修正します。プレス機でプレスしたところと、ハンドアイロンでプレスしたところの生地の張りや艶の差が出ないようにすることも必要です。


この角度から見ると、縦の地の目が通って、自然な形で胸の膨らみやウエストのクビレが出来ているのがわかります。


プレス機から外してハンガーに掛けてみると、胸の膨らみがきれいに出ていますが、見た目よりも、実際に着てみると、この立体感がとてもよく体感できます。


そして、このプレス機の良さは、前立てのエッジのシャープさにも現れます。前立てのエッジは、着用でもクリーニングでも知らず知らずのうちに伸びているため、どうしても波打つようになってきます。特に水洗いの場合は・・・。

理想的な前身頃の形をしているこのプレス機の上にジャケットを乗せると前立てのエッジがマットに添わずダブつくので、それがよく分かります。それをプレスして、一気に元の状態に戻し、シャープなラインを現わします。


ただし、洗ったジャケットをそのままこのプレス機でプレスすれば立体的なシルエットができて、それが長く持続するというわけではありません。先に芯地や袋地、シームの折り返しなどを整えて、平滑な状態を作り、プレスによってすべての生地が一体化できるような下地を前もって作っておかないと、折角プレスをしても直に崩れてしまいます。


機械プレスをする場合はいつもそうですが、プレス機に乗せられるまでの状態を、ハンドプレスでどれだけきれいに作れるかがとても重要です。また、プレス機の上ゴテと下ゴテは、高級ブランドの今の主流のジャケットに合わせて作られているものです。
この形は時流とともに変化し続けていて、コテの形も3年ごとに変更が必要な程です。

これまでハンドプレスだけでは実現できなかったシルエットの持続性を実現してくれるこのプレス機ですが、最終的なハンドプレスによる、ディテールの修正の大切さは今までと変わりません。


素材の厚さとか薄さとか、そして、ベルベットやカシミアのような起毛した
素材やシルエットに合わせて17パターンのプレスセットができる超スグレ
モノの前身頃プレス機。

このプレス機によってプレスすると、より立体的でグラマラスなボン・キュ
・ボンシルエットが生み出されます。

見た目も実にカッコよくなりますし、体のラインにそってジャケットがフィット
するので、ジャケットの重さが分散してとても軽く感じます。なにより、表地
と芯地が一体化するので動きが楽になり、驚きの着心地です。
ぜひ、体験してほしいなあ・・・着心地の気持ちよさを。