「水洗いと洗剤」
  • 2015年06月29日

クリーニング施設は全国で32,000軒ほどあるそうですが、そのほとんどはドライクリーニングが主体の施設で、ナチュラルクリーンのように水洗いがメインのところは、実際のところ・・・技術的に難しく、手間も時間もかかるので、全国ではほんの一握りです。

うちの会社にも、以前、別の大手ドライクリーニング工場で働いていたことのあるスタッフがいて、以前のドライ工場と水洗いのナチュラルクリーンとの違いを、仕事をしながらよく話してくれます。

それによると、まず、工場全体にドライクリーニング溶剤の独特なあの臭いがしないのが大きな違いで、一日中このドライ臭の中にいると、頭が痛くなるということでした。

また、洗いあがった洋服のさわり心地がドライと水では全然違う。ドライクリーニングだけだと、汗などが残っているためにどうしてもベタついた感じがしますが、水洗いではサラサラッとしているのでとっても気持ちがいい。

そして、洋服を持った時の重さも水洗いしたものはいつもとっても軽く感じるそうです。逆にドライのものはズシッと重かったと。

これについては、18年前うちの会社が水洗いを始めた当初、それまでドライクリーニングをされてきたジャケットを水で洗う時に、洗う前と乾燥後の重さを実際に測って、データを集めたことがありました。

その結果、平均で約5グラム軽くなっていて、ドライクリーニングの前後で重さを測っても変化がありませんでしたから、これは、ドライクリーニングだけでは落ちなかった汗などの水溶性の汚れが、水洗いで落ちたために軽くなったということになります。それが、着心地の軽さになっているわけですね。

当然うちの会社にもドライ機もありますが、それはあくまで皮脂や油落としの前座であってメインではないわけです(スーツやコート等はすべてドライ洗いをして水洗いを行います)。メインはやはり水洗い。※素材やデザインによってはスポッター(前処理)で汗抜きした後、シリコーンドライ洗いのみの場合もあります。

今日は、そんな水洗いをするときに使っているセレクト洗剤についてご紹介しましょう。

ナチュラルクリーンではこれまで、オリジナルのものから市販のものまで、様々な洗剤を使ってきましたが、洗い上がりの質感の良さや、香りの良さから、今回ご紹介するのは、最近水洗いでよく使っている洗剤たちです。


まず一つ目はブランド衣類の水洗いに使っているニューヨークの「ランドレス」。
この「ランドレス」は植物性の原料を使い、排水後も生分解して自然に戻り、動物虐待になる動物実験もしないというメーカーで、衣類をドライクリーニングしないで、家庭で洗おうということで洗剤や柔軟剤を開発しています。

そして、商品は、様々な衣類に合わせて細かくラインナップされ、ソフトな洗い上がりに、心地よいほのかな香りが残ります。僕は個人的に好きですね、嫌みのない大人の香りが。

(ダークデタージェンドで洗ったブランドスーツたち。発色が蘇っています。)

一番左の「ダークデタージェント」は、色柄もの用で、多くの「ブランドスーツ」などにはこれを使います。色落ちもしにくいですし、洗い上がりのシワも少なく、袖を通した時にフッと香るクセのないクラシックな香りもいいですよ。

2番目が「ホワイトデタージェント」。これは、白い衣類用の洗剤ですが、白物用には珍しく、蛍光剤を含まない洗剤で、自然な白さを目指します。白いウールやリネンの「スーツやシャツ」などに使っています。

3番目は香水の「ルラボ」の香りの洗剤。香りはもちろん、「色柄もの」も冴えます。


(しっとりした洗い上がりです。発色もキレイです。)

4番目の「デリケートウォッシュ」は、「シルク」などのデリケートな素材用。香りはレディス用の「リッチアンバーとシトラス」の香りです。

そして一番右は、「ウールカシミヤシャンプー」。「ウールやカシミヤ」の風合いを保つとともに、シダーの香りで防虫効果も併せ持ちます。


そして「ユーカラン」「アッカパッカ」「オブリージュ」といった洗濯好きの間で人気の高級洗剤。ジャケットやコートの「カシミヤやビキューナー」をしっとりさせたり、薄っぺらくなった感じの「シルク」の厚みを回復させたりなど、素材に応じて使い分けています。香りがきつ過ぎず、ほのかなのもいいですよ。


左は、デニム専用の「デニムウォッシュ」。漬け置きしてデニムの色落ちを防ぎ汚れを浮き出させる優れもの、柔らかくあらいあがります。

真ん中は「スポーツデタージェント」で、スポーツ後の衣類の洗濯を考慮して作られたもの。皮脂や汗の成分を分解し、弾けるようなリーフグリーンの香りでとっても爽やかです。ちなみに「ダウンやスキーウエア」等はもっぱらこれを使っています。

そして右の「スポーツスプレー」は、汗の臭いをカットするスプレーで、少し臭いのキツイダウン等には仕上げの時にこのスプレーを若干噴霧して爽やかにします。


この超高級洗剤のオブリージュは日本の染物屋さんと油脂メーカーが開発した洗剤で、120mlで3,000円と、とっても高価ですが、シルクの洗い上がりにはその価値があり、高いんだけどツイツイシルク品には使っています。

「カシミヤのジャケット」には、生地の柔らかさと共に、ジャケットとしてのシルエットには張り感も要求されるため、ただ柔らかくなるだけの洗剤ではだめですし、芯地は人体整形乾燥機に長くかけて、硬化剤も噴霧してしっかりと整形します。


「カシミヤの表面の質感」も本来の潤った艶感のある状態に戻っていきます。

僕たちはいつもこういった洗剤を使っているので当たり前なのですが、外から来た人や、他社のドライクリーニング工場から入って来られた人は、人体整形の時の蒸気に乗って、香りが洗い場全体に漂い、スタッフが香りのシャワーみたいで気持ちいいととっても喜んでくれています。

そして、地元限定で行っている一般衣類の「リーガルクリーニング」のウォータークリーニングでは、ヨーロッパで一番人気の「ドイツのヘンケル」の洗剤を中心に使っています。

左端が「パーウルブラック&ダーク」。ダークカラーや色柄ものの毛羽立ちを防いで色あせを押さえます。

2番目が「パーウルホワイト」。漂白剤を含まずに白さを保つ洗剤です。

3番目が「パーシルセンシティブ」。赤ちゃんの肌にも優しい洗剤で、右端が「パーシルハイジーン」。除菌率99%の除菌剤で、汗臭いスーツを洗う場合は、「パープルブラック&ダーク」にこの「パーシルハイシーン」を加えて使用していますので、消臭抗菌力はバツグンです。

こういった世界の有名ブランドの洗剤を使ってクリーニングできるのも、うちが水洗いを中心で行っているウォータークリーニングだからこそです。

これらの洗剤をアイテム別にセレクトして、ここまでこだわって洗っているのは他のクリーニング店では多分ないのではないかなぁ??

とにかくこういった洗剤にこだわった洗いを行っていると、一つ一つの衣類により自然と細かく意識が向くようになるものです。また、何といってもいい香りに囲まれてお仕事ができるのって、とっても気持ちがいいものですよ。

ウォータークリーニングの品物が着いたら、ほのかな香りとアイテムごとに蘇っている素材からのメッセージを五感で感じ取って欲しいですね。
(つづく)