スーツの裏地の色落ち
  • 2014年03月06日

「このアルマーニのスーツを着ているとシャツに裏地の色が付くので、色が落ちないようにしてほしい」というのが今回の依頼です。

あまり数は多くはありませんが、濃い色の裏地からドレスシャツに色が移るケースがあります。

裏地の材質はキュプラです。

裏地の色がどれくらい落ちるのか?
試しに白い布で裏地を軽くこすってみると、乾いた布で50回こすっても色は付きませんが、布を濡らしてからこすると、紺色が少しつきました。
「ふうむ。これか・・」ですから、汗をかいた時にシャツに色がついてしまうのでしょう。この色落ちを止めるには3段階の工程を行います。

まず最初は、シリコン樹脂が成分の油性の色止剤を裏地にまんべんなく噴霧して乾かします。
この色止剤は、水洗いで色が出やすいものやレザーの付属品がある衣類を洗う前にスプレーして色止めするためによく使います。

次に、乾いたら水で洗いますが、この時は型崩れしないように、ネットで海苔巻のように巻いて洗います。
当然、ジャケットやパンツのポケットはすべて「しつけ縫い」を行っています。

そして濯ぎが終わったらネットから出し、今度は水溶性の色止剤に漬け込みます。この色止材剤は、染料を繊維と金属結合させて取れにくくするもので、染料には効果が高いです。

漬け込みが終わったら脱水して人体整形乾燥で形を整え、静止乾燥機で完全に乾かします。

ここまでで色止の効果はかなりありますが、更に色落ちをおさえるために、裏地の表面を薄く樹脂コーティングします。
樹脂を水に溶かしたものをエアブラシで裏地にまんべんなく吹き付けていきます。普通なら色落ちして水洗いできないような素材でもこのコーティングをすれば洗えるようになることがよくある効果の高いコーテイングです。

三段階の色止めが終わって、最初と同じように濡らした白い布で50回こすってみると、今回は布に色がまったくつきません。

これなら白いドレスシャツを着ても大丈夫です。
ということで、色移りのディフェンスオッケー。
めでたし、めでたし。