パンツの汗ヤケとおしっこの黄ばみ取り
  • 2014年02月06日

今回ご紹介するのが「パンツの汗ヤケとおしっこの黄ばみ取り」です。
日々入荷してくる薄いグレーのスーツのパンツでよく見られるのが、太腿の前後が茶色くなっているものです。これは着用中にかいた汗が生地に残り、酸化して変色した汗ヤケによるものです。

それと、ゼニア、ダンヒル、バーバリー・・、このあたりのスーツを着用される方は50歳を過ぎた社会的に肩書のある中年男性の方々。この年代の方々に多く見られるのが、パンツ内側のシック部分のおしっこによる黄ばみです。

このパンツにもシックに少し黄ばみがありますし、表側のお尻にも同じような黄ばみがあります。

 
ドライクリーニングではこのような黄ばみのシミはまず落ちません。ですから黄ばみのシミはアルカリ焼けを起こし生地が変質していきます。こうなると漂白してももはや黄ばみは除去できません。こういう場合は色修正の技術で補色をして、黄ばみをなんとか目立たなくするしかなくなります。

 さて、ここで少しお勉強です。こうした汗ヤケや黄ばみは当然ドライでも除去できませんし、水洗い(黄ばみ予防には水洗いが最適)をして洗剤で洗っただけでは取ることができません。洗剤は汚れを繊維から剥がす力があり、また、汚れが水に溶けるのを助けますが、汗ヤケや黄ばみは、そのままでは繊維から離れないので、酸性やプロが使う中性の漂白剤などによって細かく分解させて繊維から剥がしていきます。

また、汚れの表面には油分の膜が覆っていることが多く、この膜が漂白剤の働きを邪魔します。ですからまず最初にパンツをドライクリーニングして繊維に付いた油汚れを先に除去します。プロの場合、この時「過酸化水素
などを成分とするドライクリーニング用の黄ばみ除去剤をシミの部分にスプレーして洗浄すると、軽い黄ばみならほとんどが取れてしまいます。

続いて漂白剤に漬け込みます。

家庭で漂白するなら、ウールのパンツには液体のワイドハイターを使いますが、ここではもっと強力なプロ用の中性の漂白剤を使います。40度くらいのお湯に漂白剤と中性洗剤を溶かし、そのお湯にパンツを漬けて様子を見ます。(このとき、普通は繊維の収縮防止剤を入れますが、弊社の場合は水の粒子が超微細なクラスタルウォーターを使用しているので繊維は縮みません。)
 薄いグレーは漂白で変化しやすい色なので、注意しながら黄ばみの除去具合を見て、30分ほど漬け込んでから取り出して濯ぎます。

 乾かしてみると汗ヤケはきれいに取れていますが、シックの黄ばみとお尻のシミは少し残っていますので、部分漂白でこれらを除去していきます。

過酸化水素を主成分とした漂白剤をシミの部分に付け、スチームで熱を加えますが、熱が強いと漂白が効きすぎて生地の色が変わるため、様子を見ながら少しずつ熱を加えます。
これを何度か繰り返してほぼ黄ばみのシミは除去されまったくわからなくなりました。


ちなみにこのような汗ヤケや黄ばみのパンツは、日々5~6本必ず入荷されてきます。

そうならないためにも、着用後のパンツには水を霧吹きして、汗やおしっこのアルカリ分濃度を薄めておくと、汗ヤケやおしっこの黄ばみは出にくくなりますので、ぜひお試しあれ。(つづく)