レザーウェアの防カビと撥水加工
  • 2014年06月20日

お久しぶりです。春の超繁忙期では猫の手も借りたい工房状態に入ります。6月のここにきて雨の時期が続き、少し品物も落ち着いてきたので、久々に「週刊ナチュラルクリーン」を綴る事が出来ました。今回はレザーウェアに関するお話です。

千葉は今日も雨です。レザーウェアにとって梅雨は試練の時期ですね。雨に濡れると水ジミができるし、何より避けたいのはカビが生えることです。カビは温度が高く湿気があって、カビの栄養となるものがあれば、そこで繁殖します。
レザーはカビにとって栄養の宝庫ですから、温かく湿気の多いこの季節、いつカビが生えてもおかしくない状況なのです。カビを生えさせないために家庭でできることは、まず、湿気のこもるところにレザーを保管しないことです。
但し、太陽光線や蛍光灯の光が当たるところに置いておくと、レザーは容易に変色しますから、光が当たらなくて風が通り湿気の少ない場所に保管できればいいのですが、実際には家の中にそんな場所があるところは少ないため、どうしてもカビの生えるリスクはあります。
しかし、生え始めのカビなら払ってやれば取れますから、カビを繁殖させないことが大切です。
それには、時々レザーウェアを取り出してみて表裏ともにブラッシングしてやること。
そうすればカビの胞子が付いていても取れるため、繁殖を防ぐことができます。
ただ、それも実際にやると結構大変です。

それよりももっと強力なカビ防止策は全体をカビ防止加工すること。水で洗う時にカビ防止剤にも漬け込み全体をカビ止めすれば、ポケットの隙間など見落としやすい細かいところのカビも防げます。

今回は、「レザーコート」と「レザージャケット」の2点を水で洗ってカビ防止加工を行い、更に撥水加工もプラスして雨に濡れた時の水ジミを予防し、汚れが付きにくくします。

コートは「ベルサーチ」、ジャケットは「スタンリーブラッカー」というブランドのものですが、どちらもやわらかく風合いのある羊革です。

革を洗う時の洗剤兼加工剤を水に溶かします。羊の毛から採ったラノリンを主成分としたもので、革に潤いを与え柔らかさを保ちます。
そして今回は「抗菌防カビ剤」もこの中に一緒に溶かします。

ジャケットはシミや汚れは無いのでそのまま入れ、コートは袖などに点々とシミがあるため、超音波で落としてから入れます。
手で軽く押し洗いすると、汗などの汚れは水の中に溶けだし、潤い成分のラノリンや、抗菌防カビ成分は革の中に浸透していきます。
これを脱水した後は人体整形乾燥機で形を整えながら乾燥しますが、この時にも更に保湿成分を噴霧し手で馴染ませますが、プルプルっとした革の手触り感が独特です。

布地のジャケットですと、ここでアイロンを使い、スチームを使ってシワを伸ばしますが、革は人の肌と一緒ですから高温には弱いため、水に濡れた状態でアイロンなどの高い温度のものが触れると、熱が伝わり過ぎて革が収縮し硬くなります。

そのため手でシワを伸ばしながらゆっくりと整形乾燥します。
そして人体整形乾燥機で半分くらい乾いたらハンガーに吊るして常温で乾かします。

乾いたときは革の表面が少し張りがある感じになります。
水に濡れた後の革はこうなりますが、潤い成分をしっかり含んでいるため、揉んでやるとしっとりと柔らかくなります。
乾燥後の撥水加工は今回はコロニルというブランドのものを使います。

肌理が細かくスプレーできるため川に使っても村になりにくいものです。
水溶性の撥水剤もありますが、革は水滴の跡が残ってシミになりやすいため、できるだけ細かい粒子でスプレーできる油性の撥水剤を使う方がムラにならずに撥水できます。
最後は全体をプレスして艶を出し、裏地もきれいに整えて完成です。