- 2011年11月19日
今日、紹介しようと思うのが、「エミリオ・プッチ」のワンピースのむ「洗いと仕上げ」。
この「エミリオ・プッチ」は「プッチ柄」と言われる特有のプリント柄で、
誰もが一目見てそれとわかるブランドです。
プッチ氏は、元々スキーの代表選手だったそうで、
最初にデザインしたのもスキーウエアだったそうですねえ・・。
そういえば、「エミリオ・プッチ」のはっきりした柄は、
そのままレーシング・スーツに使えそうな気がします。
「エミリオ・プッチ」や、
同じくプリント柄が特徴の「レオナール」、
そして「マルニ」といったブランドは、
「これしか着ない」というマニアの女性が圧倒的に多いので、
一人で「エミリオ・プッチ」を30着以上も預けて下さるお客さまも
珍しくありません。
この「エミリオ・プッチ」のワンピースの素材は
レーヨン100%のものが多いですが、シルクのものもありますし、
綿や麻素材のもの、そしてそれぞれの混紡など様々です。
コントラストのはっきりした柄なのですが、
その分、水洗いした時に色の染み出しが起こりやすく、
水洗いの時は色止めをした上でごく短時間で入念アナログ的な手洗いをします。
ただ、これだけバリエーションがたくさんあり、
素材も様々で、色や柄も豊富なので、
水で洗えるものも洗えないものもあるわけで、
それを見極めて最適の「洗い」や「メンテナンス方法」を選択することが
僕たちプロに仕事です。
それと、NCには全国から
この手のワンピースが数多く届きますが、その時の要望で多いのは、
食べ物やお酒などをこぼしたシミを取ってほしいということと、
脇などの汗ジミをきれいにしてほしいということ、
脇などの汗ジミをきれいにしてほしいということです。
これはワンピース以外の男性物もそうですね。
女性物の場合、特に多いのは口紅やファンデーションが
付いてしまったのでなんとかしてほしいといったもの。
こういうのって結構あります。

「エミリオプッチ」の場合は糸が細く、色も滲みやすくて、
しみ抜きをするときにも一気に強い薬品などを使えませんので、
溶剤の弱いものを使って、何度も何度も繰り返しながら、
少しずつシミを落とします。
また、レーヨンは水洗いする時には要注意の素材なのです。
レーヨンはパルプを一度溶かしてから糸にした素材なんですが、
メリットとしては柔らかくしなやかで、ワンピースなどでは美しい
ドレープラインが出ます。

ただ、水に濡れると、糸が太くなり、
縮みが起こるというデメリットな面もあります。
水に濡れた時のレーヨンの強度は
乾いている時の半分になりますから、
強く引っ張って伸ばそうとすると破れてしまう場合もあるので、
水洗いした後は、細心の注意をはらいながら、
全体を徐々に元にもどしていくことになり、結構プレスには
繊細さと感性の豊かさを必要とされます。

また、中には、濡れると艶がなくなってしまうものもあって、
そういう水での丸洗いができないものもあり、そういうものは選別し、
艶感やしなやかさの出るシリコーンドライ溶剤を使って洗っています。
水で洗わない場合、服に染み込んだ汗を取るために、
首周りや脇などはシリコーンドライで洗う前に部分的に水でよく濯いで
汗取りをしておきます。うちの場合、この汗抜き工程は水で洗わない場合の鉄則です。
また、人体型整形乾燥機で内側から全体にたっぷりの蒸気をかけ、
同時に外側からは消臭・抗菌スプレーをたっぷりと吹きかけると、
臭いも取れるし、水で洗ったときのさっぱり感も出るので、
そういうパターンのメンテナンス方法もあり、
「水洗い&メンテナンス方法」は素材や着用具合によって
様々なので、決まり切ったマニュアルは難しいのです。

このような洗いやメンテナンス方法に関する内容の選別は、
入荷時のチェック検品カルテ作成時に行いますが、
過去「エミリオ・プッチ」のような女性物のブランド衣類で
「色出」「縮み」「色褪せ」等で失敗した事例は一度もないですよ。
伊勢丹メンズ館のエミリオ・プッチの
店長からもお墨付きを頂いてるようなので、絶対的な自信があります。
このような女性物の衣類仕上げ全般は、
みんなの母親的存在で茶道華道の先生で感性が豊かなマネージャーの
「法子さん」が担当しています。
一点一点心のこもった立体的な仕上がりに
工房見学者の多くから「う・・・ん・・凄い・・・」といった、
ため息が漏れたりします。
うちの場合、洗いもいいのですが、
やはり感性的なプレスの技術は群を抜いているような気がします。

次号は「ラルフローレン・ブラックのカーゴパンツの色素回復洗い」です。
記 クリーニング師・繊維製品質管理士 松村誠
※「エミリオプッチ」ワンピース 7,350円
ファッションブラウス・ジャケット4,725円
スカート 3,150円




