クライミングパンツとハット
  • 2011年08月21日

今年の夏の初めは涼しくて、冷夏になるかもしれないと思っていましたが、
逆に、お盆の前あたりから、猛烈な暑さが続いています。
夏の間もこれまでは、ずっとGパンで過ごしてきたのですが、
今年はさすがに暑さがこたえて、Gパンは汗で足にくっついて動きにくくなるし、
なにかいいものはないだろうか?

それで、クローゼットから出してきたのがノースフェイスのクライミング
パンツ。

ナイロン製の薄手の生地で、動き易いし工房の中で穿くのにちょうどいい。

ところが、14年ぶりに出してきたパンツは、あちこちにシミがあって、
このまま穿くのはちょっと気が引けます。

シミを取ってきれいにしたいのですが、何しろ時間の経ったシミなので、
普通に洗っただけでは取れません。

そこで、まず洗剤をつけ置きして様子を見てみます。

今回使うのは液体洗剤のアタック・ネオ。
濃縮タイプで濯ぎが早く、一回濯ぎでOKな洗剤です。
この原液をシミに直接付けてシミに変化があるかどうか。

一番目立つ、腿の茶色いシミはどうも取れる様子がありません。
シミの色からして血液の古いシミかもしれません。

それで、今度は、漂白剤のワイドハイターEXを、
これも原液を直接付けてみて様子を見ますがなかなか頑固なシミです。
少し薄くなりましたが、まだ、はっきりと残っています。

さて、次はどうしよう。
ここで一度洗濯機に入れて濯ぎ、今度はハイドロハイターを使ってみることにします。

ハイドロハイターは、ドラッグストアーにも売っている還元系の漂白剤で、
漂白力が強く染料の種類によっては生地の色が抜けるため、
通常は白い生地にしか使いません。

このパンツはベージュですが、裾の内側で試したところ色抜けはしないようなので、
シミに使ってみることにしました。

―ここでちょっとお勉強タイム―
漂白剤には大きく分けて酸化型と還元型の二つがあります。
酸化型は、シミに酸素をくっつけて破壊するタイプで、
その中でも酸素系と呼ばれるのが粉末や液体のワイドハイターなど。
そして、塩素系のキッチンハイターも酸素をくっつけて漂白する酸化型です。
逆にシミから酸素を奪って漂白するのがハイドロハイターのような還元系漂白剤です。
―お勉強タイムおわり―

ハイドロハイターは、耳かき一杯ぐらいのほんの少量を水に溶いて、綿棒でシミに付けてみます。

今度は、いままでの洗剤や漂白剤よりも効果があって、茶色がかなり薄くなっています。
でもまだ確かに残っている。

これが血液のシミだとすると、残っているのはタンパク質か・・・。
ということで、次は酵素です。
酵素は人の体温と同じくらいの温度でよくはたらきますが、
タンパク質は熱をかけすぎると凝固して取れなくなる為、酵素を付けたら、
温度の上りすぎに気をつけながら、遠くからドライヤーで軽く温めてやります。
洗濯用の酵素が手に入らない時は、プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)
を含んでいる胃腸薬で代用することもできます。

こうして、時間をかけてシミを取り、ようやくきれいになったパンツですが、
クライミングパンツを洗う時に注意することが一つ。
クライミングパンツはウエストにベルトが付いているものが多いですが、
このベルトから色出するものがあります。
それで、洗う前に、洗剤を10倍に薄めたものをつけたティッシュでベルトを挟み、
洗濯ばさみでとめて、色が出ないかをチェックしてみます。

15分くらいしてティッシュをはずしてみると、かすかに黒い色が付いています。
極端に色が出るわけではないようですが、濡れたままの状態が長時間続くと、
ベルトの色がパンツに移りそうです。
ですから、シミ抜きの時にはベルトを濡らさないようにし、
洗いもすすぎも2~3分で短時間ですませます。こういう時は一回すすぎの洗剤は便利です。
そして、脱水したらすぐハンガーに吊るして乾かします。

こうして、クローゼットに十数年眠っていたクライミングパンツの
古いシミがとれてきれいになりました。

後は仕上げですが、このパンツのプレスのノウハウは、
ナチュラルクリーンのホームページにある「ナチュラルクリーンブログ」の中の
「スタッフによるスペシャルコンテンツ」で、プレスの奇人及川が紹介していますから、ぜひご覧ください。