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夜のうちに降った雨で、小川の水が泡を立てて
あふれんばかりの勢いで流れている。

雨で洗われた若葉の緑が、目に飛び込んでくる。

小川の辺りにある、ひなびた食堂で朝食でもと思い、
中をのぞくと、中は人氣も無く薄暗い。

しばらく連れのものと、どうしたものかと思案していると、
ネットで観たあの写真がれきの中の広々とした一本道を
一人肩を落としうつむいて歩く、男性の姿が急に目の前に現れる。

私は連れのものに、一本道のずっと先に見えるあの明かりを目指して
「とにかく行かなければ行けないんだ」と何度も何度も言っている。

でも姿の見えない連れのものは、私の言葉は伝わっていないのが分かる。
ここには早朝に着いたはずなのに、すでに日も落ち始め、私は焦り

自転車を漕ごうと、何度もペタルに足を載せるが漕ぐまでには至らない。

突然、目の前にあのうつむいて歩く男性の写真が再び現れた。

私は雨音で目覚めた。

夢だったのだ。

姿の見えない連れのものは、あのうつむいて歩く男性だったのだろうか。

被災して生きる目的を失った心には、まだ私の言葉は伝わらなかった。

とにかく「仏の灯火を目指して前へ進もう」

という思いは今はまだ伝わらなかったのだ。

14:05, Saturday, Apr 16, 2011 ¦ 固定リンク ¦ コメント(0) ¦ コメントを書く ¦ トラックバック(0) ¦ 携帯

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