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2014年11月5日

「油ジミのコットンスーツ」11/5(水)
ナチュラルクリーンさま

いつもお世話になります。
大阪のマッセアトゥーラの柳瀬です。


火曜日到着でN様コットンスーツ2着お願いします。
お見積もりの前に相談があります。


先に状況をお伝えしますと、
パンツに油染みのような変色が見受けられます。
何かに触れたとかではないので、
体脂じゃないかなと予想しているのですが、
Nさんはいつもステテコを着用されているので、
こんなになるかなぁと疑問です。


ふくらはぎの辺りまで
ステテコは届かないので、体脂かと思ったのですが、
サイドシーム辺りなど、ステテコ着用で
直接、肌が触れない部分にも
脂が浮き上がっており、
体脂じゃないのかな?と分からない状況。


上着は問題ないのですが、
コットンなので上下をと考えて送りました。


襟の辺りとか、
辺りが凄すぎて、このまま水洗いをすると
一気に色落ちすると思いますので、


ドライは好きじゃありませんが、
今回に限り、色落ちのない「DRY」を考えています。


それなら御社じゃなく
街中の、、とも考えたのですが、
御社が最近「ドライ併用」されてる事を思い出して、、


水洗いして色落ちしても「色のせ」してもらえますが、
それだと折角やっと出てきた「味」がなくなってしまいます。


こんな感じであれこれ悩んでおりますが、
どう考えれば良いでしょうか?


ご検討、お聞かせ願います。

マッセアトゥーラ 柳瀬




柳瀬くん、久しぶりですねぇ。
彼は何年か前に何度も君津工房を尋ねてくれ、
ここで体験したありのままを自身のブログ
書いてくれました。

『ナチュラルクリーン

今日は、千葉にあるナチュラルクリーンを訪問してきました。
東京駅から高速バスで1時間弱、君津のバスターミナルに
着きます。

当初、滞在時間を1時間半程度しか予定してなかったので
すが、 帰りの新幹線を90分も遅らせました。
それだけ会長や社長だけでなく、現場の皆様からも、
クリーニングに対する思いばかりではなく、
洋服に対する思いや、環境に対する思いがビシバシと伝
わってきて、あっという間に、充実した楽しい3時間が経過し
たんです。

実はクリーニング恐怖症の僕自身、
自分の洋服のケアに、ホトホト困っていました。
今までの数々の失敗から、クリーニング恐怖症になって
たんです。
僕の周りにいる洋服好きの人達も、クリーニングには出さ
ない人が大勢います。

可能な限り、自分で水洗いをしてしまいます。
子供が実験とか何とか言って、おもちゃを分解して壊すか
の如く(笑)、
僕も様々な衣類を自分で水洗いをしては、失敗してきました。

その中で、素材の持つ特性のような事を、
知らず知らずのうちに身に付いてきたように思います。

ドライクリーニングとと水洗いを比べてみると、
それぞれに長所と短所があり、良し悪しではなく、好みだと
思います。ただ、僕の個人的な考えは、、
クリーニング本来の目的を考えると、ドライクリーニングに大
きなメリットを感じないんです。
今日はそんな消費者目線で、見た事や感じた事を帰りの
新幹線で綴りました。
実際の画像は、後日紹介させて頂きます。

ナチュラルクリーンでは、洗濯の度に水を入れ替え、
その水を捨てるのではなく、リサイクルして使い続けておられます。

そのリサイクルされた水は、どんどん熟成され、進化し続ける事で、
洗濯物にも人(着る人、現場で働く人)にも環境にも優しい良い水
に変わってゆくそうです。

そんな何にでも優しい、しっとりスベスベの水を使って洗うから、
生地がバシバシにならず、風合いが生まれるそうです。

使っている水のクオリティーこそ違えど、使っている機械はごく普通です。
それどころか、家庭用の二槽式も使っておられるくらいでした。
やはり、水が他店と一線を画す理由なんでしょうね。

次に特筆すべき点は、やはり予想通りアパレル用立体プレス機でした。
生地にアイロンを当てることなく乾かし、皺を伸ばす事ができます。
もちろん細部はハンドプレスですが、
地の目を読み、服の表情を読みながらの作業です。

それはクリーニング屋のレベルではなく、もはや縫製工場のレベル。
工場内に入った瞬間、縫製工場と間違えた程の設備です。
それに、化学薬品臭がするどころか、家庭の洗濯場の匂いがした
くらいです。

僕も衣類に携わる人間として、モノを大切にする心と文化を育み、
その一助としてナチュラルクリーンに益々頑張って頂きたい、、
そんな思いです。

以前にドライクリーニングの工場を見せてもらった事がありますが、
ナチュラルクリーンを見ると、全くの別物だと分かります。

洗ってなんぼのクリーニング的発想から、
ケア的発想への発想転換。
そう、「何の為にクリーニングをするのですか?」です。

これは僕たち、洋服を着る側のユーザーだけではなく、
クリーニング業界の方もシッカリ考えなければならない
時期にきていると思います。

そしてマッセアトゥーラも、、
何の為にスーツを着るのですか?という基本的な考えは見失
いません。

会長・社長を始め、ナチュラルクリーンの皆さま、
今日は貴重なお時間を割いて頂き、本当にありがとうございました。
技術は日々進化している、、会長・社長のお言葉に、今後も期待して
おります!!

実際の工房潜入記は、2007年10月31日に書きました。
工房潜入まで、ナチュラルクリーン体験以来、既に3年以上が経って
います。(汗)』


彼は自身のブログにたくさんうちのことを
書いてくれているのですが、
このブログの内容は2007年ですかぁ。
7年前ですよね。懐かしい。
ただ、技術は当時と随分進化変化しています。
まあ、どこの会社でもそうでしょうが。


彼のブログはかなりアクセス数が多く、
そのお蔭といったらなんですが、
彼のブログを見た関西方面のお客様が
結構スーツを出して下さいました。


彼は、洋服に対して熱くて研究熱心、そして何より誠実で
いい仕事のためには骨身や労力を惜しまない、とっても
こだわりの強い大阪のテーラーさんです。


その柳瀬さんのお店の
お客様のコットンスーツの汚れ落としですが、
書かれた内容を見たらわかるでしょ。
とっても繊細で洋服大好きで、だからこそ
ケアも徹底してるって。


さて、送られてきた
コットンスーツを見ての所見ですが、
ジャケットの首回りはかなり皮脂汚れがキツイです。
摩擦もあって地色も落ちてます。
ですから皮脂汚れを除去した後は
首回りはぼかしの入ったナチュラルな
色修正をおススメします。


そしてパンツのサイドシーム部分と
ふくらはぎから下は全体の油ジミはシリコーンドライで
落とし、汗はスチームで取っていけばいいです。


それにしても
ステテコってスゴイ効果なんだね。
汗の塩分を吸い取って、汗の中の皮脂(脂分)が
パンツに出てきてるって。
へえ・・、昔の人の知恵やねえ、
ステテコって。


お客様がエイジングした着込んだ風合い
が好みなわけですから、
今回は水に入れずにスチームでの
汗落としに終始します。
そうすることによって、こだわりの風合いやコットンを
着込んだ味は失われません。


ということで、いかかでしょうか。


下の写真は、
汗ジミが分かるブラックライトボックス
での撮影です。
うちではこれを使って
汗ジミ、そして汗ジミ除去を確認しています。


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このコットンスーツを縫うのに針が24本も折れたんだって。
つまり硬い生地だってことです。が、コットン好きな銀座の高橋洋服店か゜
よく使う生地で、とても柔らかい仕立てのコットンスーツです。

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首回りの皮脂汚れです。誰でも通常着込むと皆さんこうなります。

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皮脂汚れの拡大写真です。皮脂汚れとともに地色の脱色が
おこっていることが分かります。

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汗の部分を検証するブラックライトボックスに入れてみました。
やはり首回りが白く浮き出します。当然ですが皮脂汚れととも
に汗ジミがしっかり付着していることがこれで分かります。

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写真では分かりにくいですがパンツのサイドシーム部分と
ふくらはぎから下部分全体が油汚れで黒っぽくなっています。

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ブラックライトボックスに入れると「やっぱりサイドシームが白っぽく
浮き出すなあ」サイドシーム部分の汗ジミが浮かび上がります。

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そして同じようにふくらはぎから下部全体もしろっぽくなっています。
ちょっと写真では分かりにくいかな?


とにかくお任せください。
ご希望に沿った仕上がりをお約束しますから。



生かしていただいて ありがとうございます。

08:11, Wednesday, Nov 05, 2014 ¦ ¦ コメント(5)


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