「ピークドラペルの三つ揃え」5/25(月）
今回仕立てたスリーピースの生地は、ディトーズ10周年記念してオーダーされた生地。
メリノウールの中で最高の原毛であるゴールデンベイ−ルを唯一扱える生地メーカー、テーラー＆ロッジに依頼し、打ち込み密度を強くして、カチッとした生地に仕立ててもらいました。
料理人が食材の産地や生産方法などにこだわりを見せるのと同様に、テーラーは、仕立て映えする生地を求めてオーダーします。
仕立て映えする生地とはアイロンが効く生地で、アイロンを自在に効かせ、顧客の身体に沿うクセ取りがおもうままに効かせられる生地のことをいいます。
ピークドラペルの三つ揃えのジャケット・ウエストコート・トラウザーズ。
今回のスリーピースの色はミッドナイトブルー。オーダースーツを作るうえで、最初にすすめられることも多い色で、夜のフォーマルマシーンで正式礼装のタキシードでも使用される格式の高い色です。
オフィシャルな場での着用も考慮して、派手にならずエレガントさを生み出す、クラシックなピークドラベルの三つ揃えスーツです。
（当たり前のようにS字にクセ取りされたトラウザース）
クラッシックスタイルですから股上深きトラウザースはブレイシーズで吊られます。
後ろはハイバックカットでゆったりとしたシルエットで。
（襟付きウエストコート。シングル6つボタン5つ掛け 前面）丈61センチ。
（ウエストコート背面）丈49.8センチ。
（ピークドラベル三つボタンのジャケット前面）
かなりウエストラインが高く、ダーツが裾までの通し癖となっていて厚みのある体のままだと裾回りが浮いてしまうので、通しクセで裾回りを絞ることによってグラマラスで丸みのあるシルエットを出せるような設計になっています。ラペル幅11.5センチ。上着丈69.5センチ。
（ジャケット背面）
肩甲骨とお尻回りの余裕を持つためにクセ取りをしています。一般的なイージーオーダーの仕事じゃないです。ここまではビスポークでないと普通やらないですね。
（生地はテーラーアンドロッジのゴールデンベール）
（ディトーズのエンブレム）
（トラウザースとブレイシーズ）前丈94センチ。後丈103センチ。
トラウザースはハイウエストでプレイシーズを吊るしやすくなっており、後にはバックストラップを配しウエストからヒップの微調整を行なえるようになっています。プリーツはワンプリーツで、当然のこどくS字にクセ取りされています。裾幅21センチ。4.5センチダブル。
ウエストの内側もこだわっています。
普通のパターンオーダーでは、「マーベルト」というインスタントで簡易な腰裏専用の裏帯が使用されますが、ビスポークのように腰裏と腰幕に分離し深くまでしっかりと腰をホールドするように設計されている。
ここまで手間暇かけているイージーオーダーは皆無だと思います。
今日は技術者全員でいろいろと検証してみました。
※阿倍晋三首相は25日、新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言について、北海道と首都圏の東京、埼玉、千葉、神奈川の計5都道県で解除を表明しました。が、新型コロナウイルスの「第２波」は、10月中旬からぐらいから来ると想定されます。そして、12月くらいから第2の緊急事態宣言が出て、約5ヶ月間自粛ムードという仮想をして置きます。こんな話をするとみんな「そうでしょうねえ・・」とまったく驚きません。無意識にみんなわかってるようです。
各家庭も、会社も、この間のストックと消費を、ムダに成らないように、今から考えて行かないといけませんね。こういったスーツ談義も、10月中旬までの5カ月余りかあ・・・。
また5カ月間の自粛が続けば、本当に倒産する商店や会社はいっぱいでしょう。出来る最悪想定対策は今のうちに行動しておかないといけませんね。
●山田家のご両親様、ご丁寧にお品物有難う御座いました。今日はさっそくいただきます。
●しまっち気を使ってくれてありがとう。みんなでいただきます。
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■コメント
記事は非常に詳細で、スーツの仕立てに関する情報が豊富です。特に生地の品質や仕立て技術の説明は興味深く、読んでいて楽しめました。これからのファッションに対する考え方も示唆に富んでいます。