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「大掃除と学習会」12/10(日)
今日は早朝4時から
木更津工場の年末の大掃除前半。


そして来週の日曜日は
木更津工場の年末の大掃除後半です。


木更津工場の敷地は400坪。
建坪は三階建ての200坪ですから、
大掃除するには遣り甲斐のある広さです。


当然
今日の早朝の時間だけでは終わらないので、
来週の日曜日も続けて早朝の4時からの大掃除
ということになりました。


掃除が終わると
君津工房に帰ってきて仏参、朝のミィーテング、
そして「専門知識の学習会」です。


特に来年のテーマは「貪欲に学ぶ」ですから、
隙あらば「専門知識や技術の学習会」を開いては
知識や技術をみんなで学んでいきたいと思っています。


だから、
本当に時間が足らないです。
仕事は目一杯あるし、学びたいこともいっぱいあるし、
集中してやっていかないと一日、一週間、一か月、一年
が、本当にあっという間に過ぎていきます。


特に、
日本のアパレル産業は中国などに頼った低価格競争の
崩壊とは裏腹に、やはり価格は高くてもクオリティの高い
良質な衣類を求める消費者が増えていますし、お気に入
りの良質な衣類を長く着たいという消費者がとっても多く
なっていると、入荷の量を通して感じます。


だからこそ、能動的に専門知識や技術を学習していか
ないと、消費者の信頼と安心に応えることができなくな
ってしまいます。


そういった良い意味での危機感が、逆に私やスタッフた
ちの向上心や探求心に火をつけてくれているので有難
いです、


さて、「有吉弘行のダレトク!?」
クリーニングのピンキリ比較調査の中で紹介されるであ
ろう品物のウォータークリーニング品の作業工程とケア
内容です。
こういった内容はカルテに付けてお客様にお渡しします。
参考までに。


まずは、
「シルクのトップレス」のウォータークリーニング作業工程
とケア方法

●シルクのトップス(シルク100%)

1.シルクはとてもデリケートな素材です。汗などが残ったま
まだと、生地が変色し、劣化します。ですから水で洗って汗
を取ることで、長くきれいに着ることができます。

2.時間が経って変色したような茶色いシミがありましたので、
部分シミ抜きでシミを取ってから、全体をクラスタルウォータ
ーに入れ、手で静かに押し洗いを行ない、シワにならないよ
うに脱水は短時間で行いました。

3.背中の左右下部分が着用時や何かで擦れ、かなり毛玉
や毛羽立ちがありましたので、細部に渡ってカットし、目立
たなくしてあります。

4.毛羽だっていた部分は、毛玉や毛羽立ちは取ることが出
来ましたが、生地が擦れて小さな傷が残っています。この小
さな傷は織り込みによるカケツギ補修で対処できます。ご希
望の場合は別途10.000円程度、期間は10日くらいです。ご
参考まで。ただ、ここまでキレイになれば、個人的には、この
ぐらい残っていても「まっ、そこまではいいか・・」と思います。

5.さて、仕上げです。仕上げはアイロンを内側から熱風とス
チームを当てながら乾燥してシルエットを作り、最終仕上げ
は、フリルの一枚一枚の細かいところまで、ハンドアイロンで
プレスしています。ちなみにプレス歴64年の中川名人が仕上
げを行いました。

6.点々とありました茶色のシミは、一つ一つ落としていきまし
たが、右肩と左胸のシミは、ごくごく薄く薄く残っております。
デリケートな生地ですので、これ以上強くシミ抜きを行うと、
色が薄くなったり、生地を傷める可能性があり、ここまでで
シミ抜きを終了させていただきます。
 

≪ケア方法について≫

汗ジミが出来やすい素材ですが、着用後、水にぬらしたタオ
ルを絞って、汗をかいた部分に当て、汗を吸い取っておくと、
効果があります。
また、傷つきやすい素材ですので保管中はカバーをかけて
おくのもいいですが、ビニールカバーだと、湿気がこもるため、
不織布のカバーの方がおすすめです。


「レディススーツ」のウォータークリーニング作業工程とケア
方法

●レディススーツ「CHANEL」(ウール100%、裏地(上着)シル
ク90%、ポリウレタン10%)(スカート・シルク100%)

1.15年前のシャネルのスーツということですが、ご着用は数回
ということで、汚れは特に見当たりません。ただ、時代を感じる
懐かしいスーツです。
シミ抜き等は必要ありませんが、クラスタルウォーによる手洗
いで繊維の中の汚れをきれいにしました。

2.ご着用はなくても、年数の経過で若干崩れた感じがしますの
で、サイジング加工(糊をきかせた加工)と艶加工で少し張りと艶
を持たせるように仕上げています。


≪ケア方法について≫

こちらのスーツもケアの基本はブラッシングです。
艶感のある生地ですので、ブラッシングすることで艶が出ます。
着用中にできたシワは、霧吹きなどで軽く水気を与え、一晩置く
と、取れてきます。
連続して何日も着用されると、同じ部位にシワがきつく入り、取
れなくなりやすい素材ため、一度着たら休ませます。
色やけしやすい色ですから、太陽光や蛍光灯の光などがあた
らないようにして保管してください。


ダウンジャケットのウォータークリーニングとケア方法

(ルイ・ヴィトン、表地:ポリエステル100%、裏地:シルク100%)

1.首回りや袖口に汚れがあり、特にそで口の内側は、汚れで
変色している部分もあったため、まず、中性洗剤で汚れを落とし、
残った変色は部分漂泊を繰り返して落とします。

2.次に全体をクラスタルウォーターに入れて、手で柔らかく押し
洗いを行い、ダウンの中に入った汗や汚れや臭いを除去してい
きます(ドライの場合はこの汗や臭いは除去できていません)。使
った洗剤はNCオリジナル洗剤とランドレスのウール&カシミアシ
ャンプーとのブレンドです。

3.中の羽毛まできれいにするため、水の中で空気を抜くように、
両手でしっかり何度も押さえ洗いをします

4.洗い終わった後、すすぎにはトルマリンやオリーブスクアラン
や檜エキス等を配合した自然活性水AMOを入れ手で揉みながら
すすぎを行い脱水します。このAMOをダウンに浸透させることに
よって、仕上がりがフワフワになります。最後は撥水剤に浸けて
脱水。こうやって撥水加工することで、水をはじき、汚れが付きに
くくなります。

5.人体整形乾燥機で表面のしわを伸ばし、形を整えてから乾燥
ボックスで乾燥。

6.羽毛をほぐしながら完全に乾かし、表地と裏地の細かいしわを
ハンドアイロンで伸ばして仕上げています。


(ケア方法)
撥水加工をしてありますので、首回りや袖口などに皮脂汚れが汚れ
が付いても、軽いうちなら取れやすいです。
裏地は薄い色のシルクですから、汗などの汚れが付いたまま時間
が経つと黄ばみになり、生地が劣化しますので、保管前には必ず
水洗いをお勧めします。

湿気が多いところに保管されるとカビが生えやすいですから、除湿剤
を使用したり、温度や湿度を管理されてる保管ルームに預けることを
お勧めします。

ダウンジャケットは、今回と同じように水で押し洗いすれば、ご家庭で
洗うこともできます。ただ、乾燥方法を誤ると羽毛が固まって膨らまな
くなります。
また家庭では、洗濯機の中で水の上に浮いているだけで、洗えていな
い場合もあります。そして、水を含むとダウンは大変重くなる為、家庭
用の洗濯機だと脱水の時にバランスが取れなくて回らなかったり、回っ
ても大きく振動したり、倒れる場合もあります。
そのため、ほとんどのダウン製品に、水洗い不可の表示が付けられて
いるのはそのためです。


シャネルバックのウォータークリーニング作業工程とケア方法

●スタッフバッグ「シャネル・マトラッセ」

1.全体に使用感があり、表面は薄く汚れていて、四隅などは革
が擦れています。

2.まず、全体をクラスタルウォーターでジャブジャブ洗いをして、
表面の汚れを取り、乾燥後、クレンジングを行って革に付いた
汚れを出来るだけ落としました。

3.汚れの薄く残ったところや、革の擦れた部分は、革の色に合
わせて顔料を調色し、補色して周囲と馴染むようにしました。

4.色をかけた部分が簡単に剥がれないような、また、新品の時
の状態に近い光沢感を蘇らせるためのコーテングを行って終
了です。


≪ケア方法について≫

革のバッグの大敵はカビです。
カビが深く根をはると取れなくなりますから、バッグを置きっぱ
なしにせず、時々取り出して、カビが生えかけていたら、カビ防
止のクリームを塗り(例えばコロンブスのアロマクリーム)、乾い
た布で乾拭きして、カビが繁殖するのを防ぎます。皮革の敵は
カビですから。


このシャネルのバックは番組内のVTRでビフォー&アフターの
写真で出て来るみたいですが、他はスタジオ持ち込みでの検証
ということになっているようです。ちなみに、全てのビフォー&ア
フタ―の写真を撮っていますが、番組放映が終わっていません
ので事前にお見せすることは出来ません。色彩もハリや光沢感
もまるっきり変わってますよ。ただ、本番でどう映るのかが楽しみ
です。


それと、今回はテレビ局の要望ですべて水に入れましたが、や
はり品物のファッション性やディテールを見て、どうするかは決め
ます。例えば、私のスーツはフルオーダーのスリーピースが多い
のですが、パンツは下着のように直接汗を吸収しているので、脱
色しないように裏返してクラスタルウォーターで洗いますが、ジャ
ケットはスポッターで首回り・脇・袖口の汗や皮脂汚れを落とし、
人体整形プレス機での3分ぐらいの蒸気噴霧で見えない汗を飛ば
し、水には入れずシリコーンドライのみと致します。後はブラッシン
グが勝負。これはベストもです。これはディテールのことを考えてで
す。


ここに入って来るお客様のスーツもまったく一緒です。よほど汚れ
ているとか、臭いがキツイとかは別ですが、ほとんどのお客様の
スーツは2~3回着用されて出されているので、キレイなのです。だ
からパンツを除いては、意図的に水に入れる必要がない。それよ
り復元加工剤をふって石川さんのブラシをしっかりかけてやるケア
するほうが大切だと私は思っています。


ところが、地元で入って来るスーツはオーダーとかブランド物では
く、はっきり言って戦闘服のスーツですから汗もしっかりかいている
し、汚れもしててかったりしています。こういう場合は、前処理して
シリコーンドライに入れた後、躊躇なく水でしっかりジャケットもパン
ツもクラスタルウォーターで洗います。当然、消臭抗菌剤も入れて。
すると、見違えるほどスッキリし、発色もはっきりして洗い上がって
きます。仕上げもドライだけよりも、やはりダブル洗いの方が仕上げ
やすいと言ってます。当然、仕上がりも糊剤を使ってシャキでいい
です。


ですから、ウォータークリーニングというと、何でもかんでも水に入
れなければならない・・・、というものではなく、入荷して来るお客様
の品物にとっての最適な復元の方法を行っていくということですね。
実に当たり前のことですが。


※明日は伊勢丹メンズ館ウォータークリーニングスタッフの面接
で伊勢丹に行ってきます。応募の方は、元デパート勤務者の方
が多いですね。いい縁があればいいですね。

08:08, Sunday, Dec 10, 2017 ¦ 固定リンク ¦ トラックバック(0) ¦ 携帯

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