≪ 「理想の葬儀とは」12/25(水)  ¦ トップページ ¦ 「薬」12/27(金) ≫


「あなたと私」12/26(木)
12月23日(月)は私が理事長を務める
社会福祉法人志和龍城保育園の2019年最後の園内研修と
お弁当を取っての「ミニ忘年会」を行いました。


「園内研修」で私が伝えたかった「仏教保育」の原点
のお話をもう一度皆さんにはお伝えしておこうと思います。


仏教保育の原点とは何か?


それは「私とあなた」の視点ではなく「あなたと私」の視点を
持つということです。


これは保育に限ったわけでなく、親子、家庭、職場、あらゆる人間
関係の中でとても大切にしなければならない「爽やかな人権感覚」
と言っていいです。


金子みすゞの名前と作品を知らない人はいません。
それはみすゞの作品が読む人の心の一番中心にストンと落ちて、頑なに
固まった心がゆらいで柔らかくなって、物事の本質、つまり、本当に大切
なことが見やすくなるからでしょう。


「大漁」という詩があります。
「浜はまつりのようだけど、海のなかでは、何万の鰯のとむらいするだろう」。
この詩は魚を獲った人間側から、とられた魚側へ、「私と魚」から「魚と私」
へと眼差しを変えています。


金子美鈴の立ち位置、眼差しってすべてそうになです。
「私とあなた」ではなく、「あなたと私」です。人間ってずっと「私とあなた」で
生きてきて、金子みすゞの作品に出合って初めて、「あなたと私」という眼差し
に気づいていきます。


今年、千葉や関東圏は台風15号・台風19号で大きな被害を受け103名の
方が亡くなりました。結局温暖化による結果でこういった自然災害が急増して
きているのですが、人類は自己中心、人間中心で物質的な豊かさを手に
入れてきました。


人間の都合のいいように自然を壊し、同じ人間同士が殺し合い、傷つけ
あってきました。このままでは人類はこの地球という美しい星から消えていく
しかない状態にまで来ています。


志和町は市街化調整区域で自然が守られています。逆に人口が増えない
と「私とあなた」の物差しでは考えてしまいがちですが、「あなたと私」の視点
から考えてみると、自然と共営できる地域としては実に守られている地域
と言っていいでしょう。私はそう思っています。


自分を中心に考える時、人ははてしなく傲慢で、警告になります。いつも
自分を相手より上に置いて、「なぜ分からないのか」「どうしてできないの」と
一方的に相手を非難し、傷つけます。これでは決して相手を理解し、受容
することはできないでしょう。相手より自分の位置を上に置いた眼差しを、
相手の位置まで下げたときに、初めて相手の事が理解できるようになります。


人間には食欲と性欲と言う本能があります。ここまでは動物と同じですが、
人間にはもう一つ、「いのり」という本能があります。自分一人の仕合せから
周りの人たちへの仕合せを広げる本能です。私が千葉でウォータークリーニング
を頑張ってるのも、そこにありますし、保育園も当然、子どもや保護者の仕合せ
を広げていくのが使命そのものであるのです。


「いのり」とは、「私とあなた」ではなく、「あなたと私」という眼差しを持つこと。


みすゞは、向かい合った相手をまるごと受け入れることを、「こだま」と言ってます。
かつて、私たちの周りにいてくれた親や祖父母は、みんなこだましてくれました。
転んで「痛い!」と言った時、祖父母は「痛いね」とこだましてくれました。受け入れて
くれて、その後で初めて「がまんしょうか」とか「もうええ、泣くまいや」という
自分の言いたいことを言ってくれました。ですから、受け入れてもらった痛みは
、消えることができたのです。


しかし今、自分自身を振り返る、はたして自分は人にきちんとこだましてきたんだ
ろうかと苦い思いでいます。


誰かが「痛い」と言った時、誰かが「辛い」といった時、一方的に「痛くない」「辛くない」
と否定し、「泣くな」「我慢しろ」と励ましてきた、私は高校、大学とも空手部だったので、
余計そんな気がします。というか、そんなことを考える以前に、「当たり前だろ」でおしまい。


だけど仏教を学んで、みすゞの詩を読んで・・「痛いね」「辛いね」と相手の心にたたずんで
こだまするのは、わずか数秒の思いやりで出来るのに、それをしないで自分の言いたい
ことを一方的に言ってきたと、最近はとても意識しています。


つまり、ずっと「私とあなた」で生きてきて、自分の言いたいことを一方的に言ってきた。ここで
勘違いしてほしくないのは、私も会社の経営者として、リーダーとして、住職として、理事長
として、父親として・・・いや、一人の人間として大切な事はどんなに相手が嫌がっても伝え
ないといけません。


ただ、金子みすゞは「大切なことは相手から見ないと見えてこない」。すべては二つで一つ
なんだよということ、「私だけの幸せだけではなく、あなたの幸せがあって、私の幸せがあって
世界は成り立ってるんだよ」ということなど、童謡という誰にでもわかる言葉の詩で、
私たちに本当の事を残してくれたのです。


こういった内容を、愛の保育ってこういうことなんだよ・・ということを
今回の研修会では伝えたかったわけです。


ちなみに、定期的にこういった内容を送りますので志和龍城保育園の仏教保育に生かし、
子どもと保護者と共に幸せの和を広げていって下さい。
よろしくお願いします。合掌     理事長

06:46, Thursday, Dec 26, 2019 ¦ 固定リンク ¦ コメント(0) ¦ コメントを書く ¦ トラックバック(0) ¦ 携帯

■トラックバック

この記事へのトラックバックURL:
/blog6/blog.cgi/20191226064612

■コメント


■コメントを書く

名前:

メールアドレス(任意):
    

URL(任意):

この情報を登録する

内容:

パスワード(任意):

ヒューマンチェック(選択した計算結果を入力):