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2015年 4月1日

「功成り名を遂げて退くは、天の道なり(老子9章)」
春は春の仕事を終えると夏に地位をゆずる

放送関係の仕事をして、局長という誉ある地位に
就いた友人から、突然の電話があった。

彼は55歳の時、局長の地位を降りた。
即時退社をするか、60歳まで、
給料を下げられても勤めるか、
半年も苦しんだ挙げ句の果てに、やはり、
60齢まで勤めることにしたのだ。

「55歳ではどうしても退社できなかったんだ」と、
彼はつぶやき、それから2年も勤めているが、
出社してもなんの仕事もないし、
後輩たちもあんなに面倒を見てやったのに、
今ではなにひとつ相談してもくれない。
彼はひどく精神を痛めていた。

春は、春の仕事を終えると、
夏にその地位をゆずる。
夏は、夏の仕事を終えると、
秋にその仕事をまかせる。
秋は、冬の無の世界にすべてをゆだねる。

ああ、なんと功名を遂げ、
その栄誉ある地位を退くことが、
こんなにも苦しいのか。

「老子・荘子の言葉100選」より抜粋

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21:18, Wednesday, Apr 01, 2015 ¦