
「この世はでこぼこ同士が集まるから上手くいく世界」
何でも完璧にこなす、素晴らしく優秀な人を
友人に持てることは良いことです。
自分よりも優秀な人に近寄ることは賛成します。
しかし、そんな人を友人に持てなくても問題はありません。
自分なりに真面目な生活をして楽しめば良いです。 (No.47)
でも、工芸作家が見事な細かい細工を施した、
2つの黄金の腕輪を同時に1つの腕にはめて、
それが激しくぶつかり合い、
ガチャガチャと音を立てる様をよく見ておきなさい。
これをよく見たならば、
どんな交わり、集団の中に自分が居ましても、
自分一人で歩く覚悟を持ちなさい。
まるで1本角(ツノ)が立つサイのように一人で歩みなさい。 (No.48)
(原始仏典 スッタニパータ 第1章3節-No.47〜48)
釈尊はこう語られました。
「優れた人を友としなさい。
けれど、もしそんな友がいなくても気にすることはない。
自らの足で歩みなさい。」
そしてまた、こうも言われます。
「二つの美しいブレスレットを
一つの腕にはめると、ぶつかり合い、傷つくものだ。
その様子をよく見なさい。
それがわかったなら、一人で歩みなさい。」
この二つの教えを合わせてみると、釈尊の深い意図が見えてきます。
優秀な人たちが集まれば、必ずしも調和が保たれるわけではありません。
互いに強い光を放つ者同士は、時にぶつかり、傷つけ合うこともあるのです。
だからといって、「自分も同じように優秀でなければ」と焦る必要はありません。
私たちはそれぞれ違う光をもって生きています。
自分は自分のままでいい。
これは居直りでも開き直りでもありません。
そのままのあなたが様々なことを素直に学び
体験し、正しい智慧や慈しみの心を身に付けていくのです。
それが、
他の誰でもない「あなた自身」という尊い存在なのです。
どんな自分であっても、
いまの自分こそが最善であり、最もふさわしい自分。
他人の風景を見て心を乱すことなく、
自分の道を静かに、しなやかに歩んでいきましょう。
今日も生かされていることに感謝しながら、
皆さんのしあわせを心より念じております。
【柔訳 釈尊の教え 第一巻】著:谷川太一より一部抜粋転載
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