
人をゆっくり壊していく毒が、心には3つあります。
釈尊が最初に示した “三毒” です。
一、欲の毒
欲は本来、悪くありません。
ただ「もっと、もっと」と過ぎれば、
心は自分を失い、やがて苦しみに飲まれます。
二、怒りの毒
怒りは相手を燃やす炎ではなく、
まず自分の内側を焼く炎です。
怒れば怒るほど、自分の心と身体が弱っていきます。
三、無知の毒
真理を見ようとしない心は、
同じ苦しみを何度も繰り返します。
「なぜ私だけが」と嘆く人生が続いてしまうからです。
● 釈尊の静かな問い
人生は一度きりではありません。
心の癖は、次の生でも再生されます。
だから釈尊は言うのです。
「もうそろそろ、この苦しみの輪を卒業しませんか?」
その卒業が、涅槃(ねはん)
心がほどけ、溶けるように安らぐ世界です。
● 死を恐れなくてよい理由
死は終わりではなく、
舞台が“あの世”に移るだけ。
自分の行いの「続き」が向こう側で描かれます。
だからこそ、
今の一つの思い・言葉・行いが、
来世の自分をつくるのです。
● 今日の結び
三毒を少しでも手放していくと、
心はすぐに軽くなります。
欲を静め、怒りを鎮め、真理を見るとき、
あなたの人生は“卒業”に向かいます。
そして、釈尊の言葉は
「もういい加減卒業すれば?」
そっと背中を押してくれるのです。
「あなたなら、必ずそこへ行ける」
(原始仏典 スッタニパータ 第1章3節-No.74・私的な訳)