「花は外に咲かせず、心の内に咲かせるもの」
果実が美味しいイチジク(無花果)の木には、花
(自我の欲望の象徴。転生要因に成る)が表立っ
て咲くことはありません。
何度も生々流転を繰り返す生まれ変わり(転生)
を経験しましても、どの人生におきましても、
頑固な執着を持たずに終えることが出来た人は、
それはイチジクの木のようであり、コノ世とア
ノ世を往復する輪廻(りんね:生まれ変わり)
を終わらせます。
それはまるで蛇が古い皮をスルッと脱ぎ去るよ
うに出来ます。
(原始仏典 スッタニパータ 第1章1節-No.5)
輪廻転生(りんねてんしょう:生まれ変わること)
について、非常に重要なことを釈尊が示唆されています。
* 1回の人生だけを、執着・ワレヨシな自我を無くする
ことに成功しても、転生は終わらない。
* 幾多の人生を繰り返しても、毎回の人生で執着を無
くすることに成功して初めて、その人のいのちはスルッ
と転生を終わらせることが出来る。
ということなのです。この項で大切なことは、イチジクの
木とは表面に花が咲かない果樹だということです。
花が見えないまま、いきなり果実が育ち始め、花はその果実
の真ん中に隠れているということです。
とにかく釈尊の教えとは、華やかな社会、他人の豪華な人生
を見る中におきましても、
* 何事にも執着(ワレヨシの欲望)しないことが目標です。
* 人は、嫌な執着さえ起こさなければ、苦しい人生も、転生
も終わらせることが出来る。ということが仏教の真髄です。
* 自分なりの花を、他に認めてもらおうとして外に向けて咲
かすことに執着せずに、自分の心の中に花を咲かせましょう。
店舗に出るスタッフに言いますのは、他人の視線や態度の為に
無理をすることから離れて客観的に自他を観ていくこと。
そして、自分の心を安心させることを、何よりも優先すること。
その為には、店舗に出た時だけでなく、日常からまじめに良心
に沿った生活努力をすることが必須です。
今日もより良く生きる智慧を与えて頂いて有難うございます。
皆さんの仕合せを心より念じております。
【柔訳 釈尊の教え 第一巻】著:谷川太一より一部抜粋転載
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