
「光は外に非ず 内に在り」
原始仏典 スッタニパータ 第1章3節-№54 補足
* 自灯明(じとうみょう):
他者を頼らず、自分自身を拠り所としなさい。
自分自身に知恵の光をともし、暗い先行きを照らしなさい。
* 法灯明(ほうとうみょう):
他者よりも、真理を頼りなさい。
コロコロと変わる生きる他人よりも、
一定不変の真理を求め、真理を拠り所にしなさい。
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「自灯明」とは、
自分の中にある光(良心・判断力・誠実さ)を拠り所
に生きること。
仕事の場では、上司の意見、数字のプレッシャー、
周囲の期待など、外からの声に流されやすいものです。
しかし、
釈尊の言葉はこう問いかけます。
「あなた自身の中に、
正しい判断の灯がある。それを信じなさい。」
たとえば、
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自分の価値観に反するやり方を強いられたとき
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本当にこの仕事の目的は何か?と迷うとき
そんな時こそ、
自分の内なる「灯」に問いかけてみましょう。
「これは誠実な道だろうか?」
「相手も自分も本当に成長しあい、
心喜び仕合せになれる選択だろうか?」
その問いを忘れなければ、
どんな環境でも心はぶれません。
「法灯明」とは、
永遠に変わらない真理や価値を拠り所にすること。
ビジネスの世界は変化が激しく、
流行り廃りもすぐに変わります。
そんな中で「変わらない基準」がなければ、
心も判断も揺れてしまいます。
その“変わらない基準”こそが「法灯明」です。
つまり、普遍的な真理・原理原則に基づいて仕事をすること。
たとえば
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「人を尊重する」
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「嘘をつかない」
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「感謝を忘れない」
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「自他共に幸せをめざす」
これらはどんな時代でも変わらない「法(真理)」です。
AIが発展しても、リーダーシップや信頼関係の根底にあるのは
この“人としての真理”です。
現代に生きる私たちに必要なのは、
次の二つのバランスです。
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「自灯明」= 自分の中の誠実さを信じる勇気
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「法灯明」= 普遍的な真理・倫理を学び続ける謙虚さ
たとえば、
チームリーダーであれば
部下の意見を尊重しつつ、
自分の判断軸(自灯明)を持つ。
そして、
組織の利益だけでなく、
人として正しいこと(法灯明)を選ぶ。
営業職であれば
数字に追われる中でも、
嘘をつかず誠実に提案する(法灯明)。
自分の信念と価値観を信じて前に進む(自灯明)。
釈尊の「自灯明・法灯明」は、
決して2500年前の教えではなく、
現代のビジネスリーダーや働く人々にこそ
必要な「心の羅針盤」だと強く感じます。
今日も、
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自分の内なる光を信じ(自灯明)
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真理・良識・誠実という普遍の光を頼りに(法灯明)
一歩一歩、誠実に働く。
その姿こそが、
最も尊い「仏の道の実践」です。
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