vol. 4856
「細かい作業をすると、落ち着く」  (2016/1/22 [Fri])
「細かい作業をすると、落ち着く」

リラックスするもう一つの方法は、
靴のひもを締め直すことです。
ボウリングの試合で、あせってミスをすることがあります。
あせった結果がミスになります。
そこでヤバいと思うと、ますます焦ります。

そんな時は、ゆるんでいるかいないかにかかわらず、
イスに座って靴のひもを締め直しましょう。
靴のひもを締め直す作業は、針の穴に糸を通すのと同じで、
ビクビクしていると絶対できません。

ハーッと深呼吸をして結び直しているうちに、
気持ちが落ち着いてきます。
こういう作業は実は大切です。

靴のひもを締め直すのは、
いつもはこんなに簡単にできることがあせると
できなくなってしまうという作業の典型だからです。

深呼吸が、リラックスのスイッチを入れることのできる人は、
意外に早く集中力を取り戻すことができます。
下がり始めた集中力は、そのままでは元に戻りません。
集中力が下がり始めたら、
いったんあるところまで下げて立て直します。

それが集中力を下げ過ぎないということです。
立て直し方には、深呼吸をする、あくびをする、
大きな声を出すなどいろいろな方法があります。

スポーツの試合は、選手の動作をこうやって見ていると面白いです。
スポーツマンのすごさは、集中力にあります。
なぜ中田選手やイチロー選手が凄いか、
それはビジネスや日常生活の場できっと生かせるものです。

「なぜあの人は集中力があるのか」より抜粋

vol. 4855
「わざとあくびをすることで、力を抜く」  (2016/1/21 [Thu])
力を抜くにはこんな方法もあります。
歌を歌う時は、とくに喉に力が入ります。

しかし、喉の力を抜かないと、
相手に届くきれいな声や音程は出ません。
そこで、最初にわざとあくびをしましょう。

あくびは、緊張を緩和したい時に自然に出るものです。
あくびをするのは、退屈している人ではなくて、
本当は緊張し続けたために疲れてしまった人です。
やる気がない人ではありません。

あくびをしている人を見て、
「あいつ、ヤル気がないな。もっとテンションを上げろ」と
勘違いする人がいます。

実は、あくびをするのは、
テンションが上りすぎているかわいそうな状態です。

そこで、あくびをすることでいったんリラックスし、
またテンションを上げようとする体の防衛本能が働いているのです。
これを深呼吸と同じように意識的にやってみましょう。
あくびは、無意識にやっている深呼吸です。

深呼吸は、ハーッという腹式呼吸になります。
あくびは、意識してすることができます。
わざとあくびをするようなあごの動きをすることで、
かたくなっている口のまわりの力を抜いていきます。

とくにあくびで一番使うところは、
歌を歌う時に力を抜いて反響させなければいけない
喉の箇所と同じです。

力が入っている部分にさらに力を入れるようなあくびはできません。
あくびをすることで、逆にその力を抜くことができます。
だから、歌手はわざとあくびをするのです。

「なぜあの人は集中力があるのか」より抜粋

vol. 4854
「声を出すことで、余計な力が抜ける」  (2016/1/20 [Wed])
野球をやる時は、よく選手同士で「声を出していけよ」
「声を出していこうぜー」と声をかけます。
人間は、声を出す瞬間にリラックスします。

リラックスしないと声は出ません。
かたくなっていると逆に、息をのみ込んでしまいます。
出すというのは、すべて力をゆるめる行為です。
息を吐く時、力をゆるめないと
ハッハッハッという浅い呼吸になります。

緊張している人は、深呼吸ができません。
逆に、あまりにもリラックスしている時は、
緊張を高めるために犬のような短い呼吸をするといいでしょう。

格闘家のヒクソン・グレイシーも、
試合の前にこのサイキックアップという
呼吸法でテンションをあげています。

ハッハッハッとどんどん呼吸するにつれて、
アドレナリンが出て汗が流れます。
これは、テンションが下がりすぎて
ヤル気が出ない時の切り替え法です。

しかし、たいていの人はテンションが上りすぎています。
とくに、日本人はリラックスがヘタです。
野球をする時に、「声を出していこうぜー」というのは、
「元気にやろうぜ」とか「頑張れよ」という意味だけではありません。

内野フライが上った時、「ピッチャー!」とか
「ショート!」というのは、
お互いにコミュニケーションをとってテキサスヒットになったり、
ぶつかったりするのを避けるためです。

しかし、声を出すのはそのためだけではありません。
声を出している人がリラックスできます。
「オーライ」は「僕が捕るから、ほかの人は捕らなくていいよ」と
いうだけではなく、自分自身をリラックスさせる言葉です。

誰かがエラーをした時に「ドンマイ!」と言うと、
そう言った人がリラックスできます。
とくに野球は、チームメイトの守備位置が離れています。
「ドンマイ!」と大声を出した瞬間にリラックスできます。
「声を出していこうぜ」とお互いが声を掛け合うことによって、
力を抜いていくのです。

講演会でも、会場の人が緊張していると思ったら、
会場の人に声を出させることが一番効果的です。

「なぜあの人は集中力があるのか」より抜粋

vol. 4853
「『絶対』『必ず』『気にするな』が、集中力を落とさせる」  (2016/1/19 [Tue])
人間は、言葉でも力が入ります。
コーチは選手に「頑張れ」と言ってはいけません。
「頑張れ」と言われたら最後、「頑張らねば」と思うからです。

「○○しなければならない」というのは、
力の入るキーワードです。
「死ぬ気でやれ」「何が何でも」「ここが踏ん張りどころ」
という言葉は、選手に力を入れさせ、
集中力を欠いていく原因です。

ドツボにはまって、パニック状態となります。
「このスペアは絶対にとれ」
「必ずストライクを出さなければいけない」と言われた時点で、
体に力が入ります。

「絶対」「必ず」というキーワードは使わないことです。
「気にするな」という言葉もダメです。
逆に、相手選手のペースを乱すために、
悪意を持って使われることがあります。

「今日はフォームがいつもと違うけれども、
気にしなくていいんじゃないの」という言葉が耳に入ると、
かえって気になります。「気にするな」という言葉は、

実は「気にしている」ということです。
「今日はいつもと調子が違うみたいだけれども、気にするな」
というのは、自分に「気にしている、
気にしている」と言っているのと同じです。

気にしていない人は、そんなことは言いません。
「気にするな」という言葉は禁句です。
「大丈夫」は、同じことを言っているようで微妙に違います。

たとえば、私がボウリングでスプリットを出してスコアが悪くなる時、
先生に「今日はフォームが安定していて球が回転しているし、
内容がいいから大丈夫」と言われると安心します。

「大丈夫だ、このフォームをキープしよう」と思います。
逆に、「さっきのミスは気にするな」と言われると、
マジメな人ほど余計に気にします。

深呼吸が集中力を取り戻すスイッチであるのと同じように、
言葉も集中力を取り戻す大切なスイッチです。

いざという時に思い出す言葉は大切です。
あなたの心にひっかかり、
「なるほど」と思ったキーワードを試合中に
思い出すだけでも効果があります。

ビジネスの現場でも、日常生活に中においても、
「○○しなくてはいけない」「絶対に○○すること」の
ように言わないだけで、リラックスして集中できるのです。

「なぜあの人は集中力があるのか」より抜粋


vol. 4852
「力を入れることで、力を抜く」  (2016/1/18 [Mon])
集中するためには、いったんリラックスすることです。
でも、「では、リラックスして下さい」と言われても、
なかなかできません。

力が入っている人には、「自分に力が入っている」
という意識がありません。
「肩に力が入っているよ、抜いて」と言われても、
どこに力が入っているかわからないから抜きようがないのです。

こんな時は、深呼吸に加えて、簡単な方法で解決できます。
たとえば、ボウリングのボールを最後まで放せずにこねてしまい、
「手に力が入っているから抜きなさい」と言われるような時です。
頑張ろうという気持ちで親指に力が入りギュッと握って押さえてしまうと、
早く抜かなければならない親指の抜けが悪くなります。

ここで力を抜くためには、まずギュッと1回握りしめます。
力いっぱい握りしめて放すと、初めて力が抜けます。
「力が入っているから、力を抜け」と言われると、
どう抜けばいいかわかりません。

そこで、力を抜くためにいったん力を入れるのです。
そこから力をゆるめると、自然に力が抜けます。

「なぜあの人は集中力があるのか」より抜粋

vol. 4851
「『深呼吸』が、集中のスイッチを入れる」  (2016/1/17 [Sun])
ミスをした時は、それをどれだけリカバーできるかが重要です。
ゴルフのバンカーショット、
ボウリングのミスフレームなどをやったあとに、
できるだけ早く立ち直ることが大切です。

この時に必要なのが精神力です。
つまり、気持ちを立ち直らせる復元力です。
精神力のない人は、1回ミスをすると落ち込み始めます。
そのことにクヨクヨして、また次にミスをしてさらに落ち込み、
連続して落ち込んでいきます。

反対に精神力のある人は、一瞬落ち込んでも、
ヤバいと気づいて立て直すことができます。
この立て直す方法が、誰もが無意識にやっている深呼吸です。
深呼吸は、落ち始めた集中力を取り戻すのに適した方法です。
これによって、集中のスイッチが再び入ります。

深呼吸は、力を入れるためではなく、リラックスのためのものです。
まず肩の力が落ち、「あれはどうしよう。
これはどうしよう。みんなはこう思っているかもしれない」と
いう頭の中のいろんな雑念や迷いがフーッと吐き出されます。
深呼吸は意識してする呼吸です。
通常の呼吸は無意識に行われます。

人間は緊張すると、息を止めます。
息をとめればとめるほど、力が入って体が硬くなります。
全身に力が入って、顔が赤くなってきます。
そんな状態で正しいフォームができるわけがありません。

しかしここで、「今、息をとめていたから力が入ってしまった」と気づけば、
それだけで集中を取り戻すことができます。
自分の呼吸を意識し、深呼吸でまずイヤなことを吐き出し、
新しい空気を吸い込めばいいのです。
この時、「吐き出す」を「吸う」の倍の長さにします。

2秒で吸ったら4秒で吐く、3秒で吸ったら6秒で吐きます。
腹式呼吸は、吸うより先に吐くことです。吐いて吸います。
先に吸おうとすると、たくさん吸えません。
先に自分の中にあるイヤなことを
全部吐き出すつもりで深呼吸をすると、
体がリラックスします。これが集中のスイッチを入れる方法です。

「なぜあの人は集中力があるのか」より抜粋

vol. 4850
「さっきのミスも、さっきの成功も、どちらも忘れる」  (2016/1/16 [Sat])
私はボウリングのボールをふきながら、さっきしたことを忘れて、
「ここから最初だ」と思うようにしています。
常に「ここから最初」と思えばいいのです。

「今、何ゲーム目の何投目」「ここでなんとかしなければ」
と考え始めると、いろいろなことが頭に渦巻いて、
力が入ってしまいます。

ゴルフは4日間プレーをして、
プロでもおよそ280打くらい打ちます。
「280打のうちの今は何投目だ」と考えないで、
常に「この1打が一番最初」と思って打つのがコツです。
「あとにも先にもこの1打」を280回繰り返すのです。
ところが、集中力のない人は、「280分の何投目」と
常に考えているので、
「ああ、あれ失敗したな」「これ失敗したな」
「ここでなんとか取り返さないと」と思います。

これでは頭の中にクヨクヨした気持ちが残ったままです。
ボウリングの1投目は、比較的リラックスして投げられます。
一番力が入るのは、9フレーム目です。
最後に点数を挽回するために、
「9フレーム目で何としてもストライクを取らねば」と
いう気持ちが起こります。

これでだいたいミスってしまいます。
10フレームの1投目も、
ストライクをとるかとらないかで差が大きいです。
3回投げられるか、2回で終わるかです。
ここでストライクをとろうと力が入ってしまうと、
スプリットになることが多いのです。

一番いいフォームで投げられるのは、
10フレームの3投目です。
ここでストライクをとろうが、9ピンだろうがスプリットだろうが、
あとのプレーには関係ないのでスッと投げられます。
だから、10フレームの3投目は比較的ストライクがとりやすいです。

「ここ一番でなんとかしなければ」というのは、
「ここは取り返すチャンスだ」と思って力が入るので、
往々にして失敗します。力を入れ過ぎてはいけません。
だから、ボールをふきながら、前にした失敗をまず忘れることです。
スコアはあくまで結果です。さっきまでのことは忘れてプレーし、
気がついたらいいスコアになっていたというのがベストです。

「なぜあの人は集中力があるのか」より抜粋

vol. 4849
「迷いと一緒に、汚れをふき取る」  (2016/1/15 [Fri])
私は、ボウリングをする時に儀式をします。
ボールがリターンラックから帰ってきた時、
ボウラーはボールをふきます。
レーンにはオイルが塗ってあります。
そのオイルがついているとボールの回転が弱くなり、
滑ってしまいます。

回転が減ってしまうので、
できるだけオイルはとらなくてはなりません。
私はそれをていねいにやります。
ボールをふきながら、迷いを拭い去るのです。
オイルをふくのは、小さな点を見つめるのと同じように、
落ち着いていないとできません。
そんなにくっきりした汚れではないので、
よく見ないとわかりません。

ものを磨く時、人間は意識を集中します。
集中しないと磨けません。
お風呂や靴を磨いている時は、集中しています。

ボールのオイルをとりながら精神を集中することができるので、
私の儀式はボールをふくことです。
ほかの人たちにも儀式はいろいろあります。
汗をふく人もいます。
ピッチャーやテニスプレイヤーは汗をふきながら
迷いを拭い去っています。ピッチャーが帽子をとって、
汗をふいてかぶり直すのも、迷いを捨てているのです。

ロージンバックでポンポンとやりながら、
足元にポンと投げる時に、迷いを捨てています。
ピッチャーズプレートに土がかかっている時、
右投げのピッチャーは右足で土を払います。

土を払うことで、自分のもう一つの
アイデア・迷い・余分な意見を捨てて、
1つのアイデアに統一しているのです。
その一瞬で「次はこう攻める」と自分に言い聞かせます。

「なぜあの人は集中力があるのか」より抜粋「

vol. 4848
「アドバイスを否定すると、集中力が落ちる」  (2016/1/14 [Thu])
ゴルフのプレー中に、コーチやキャディーさんや
チームメイトからアドバイスを受けることがあります。
「ちょっと今、力が入っているよ」と言われた時に、
きちんと対応すれば立て直すことができます。
ちょっと力が入って、フォームが速くなっているから
ゆっくりしたほうがいいよ」と言われた時に、
「あ、なるほどな。気がつかないうちに速くなっていたんだ」と
思ったら直せます。

逆に、アドバイスがキッカケで集中力が切れることもあります。
「うん、わかっているよ。でも、ここはね……」と、
逆接の接続詞で相手のアドバイスを受けると、
そこからどんどん落ちます。

「いや、そんなことないよ」と思って構えた時点から、
「いや、やっぱりそうかな」と思い始めます。
そうすると、頭の中で迷いが始まります。
「迷い」は集中の最大の敵です。

「自分は力が入っていないと思っているけれども、
パートナーから見たら力が入っていると言っている」
「いや、そんなことはない」「いや、そうかもしれない」と、
自分の中に反対意見が生まれます。

そこで、「なるほどな。力が入っていることもあるかもしれない」
と思ったら、頭の中で迷わなくてもすみます。
「いや」「でも」という言葉で、アドバイスがマイナスに響いてしまいます。
同じアドバイスなのに、そのアドバイスで立ち直る人と、
アドバイスでさらにダメになる人がいます。

アドバイスでパニックになる人は、
「でも、これでいいんだ」とアドバイスを否定する人です。
頭の中に「でも」を持つのはやめましょう。
「あ、なるほどな。そういうこともあるかもしれない」と考えれば、
フォームを修正することに集中できるのです。


「なぜあの人は集中力があるのか」より抜粋

vol. 4847
「自分の実況中継をして、客観視する」  (2016/1/13 [Wed])
冷静でいなければ、集中できません。
集中すると熱くなる人がいます。
熱くなるというのは集中力ではありません。
自分のことが自分でちゃんと見られなくなります。
ヤル気や勝つ気持ちがあり、勝とうと努力している一方で、
それをクールに見つめている自分が必要です。
この時に初めて最大限の集中力があると言えます。

大切なのは、心のどこかに自分を
客観的に見るもう1つのカメラを持つことです。
「ちょっと集中力が切れてきたな」という自分を知ることです。
集中力が切れかかっていると認識するために、
自分の実況中継をすればいいのです。

「ちょっと集中力が切れかかってきましたね。
さっきのミスがひびいていますかね。
ここで相手のプレーやギャラリーを気にしないで
自分のプレーに徹してほしいですね」と、
アナウンサーと解説者のコメントを入れて
客観的に自分を見ると、冷静になれます。

冷静になれない人は、客観的に見るカメラがないので、
自分が何をやっているのかわかりません。
アガっている人は頭の中が真っ白で、
自分が何をやっているかわからなくなります。

テストの時に冷静で、
「あそこが間違ったんだ、あとはだいたい合っているから、
○点ぐらいだな」とわかる時は通ります。

冷静さを欠いて集中力がない時は、
何が正解したかも皆目わかりません。
自分が今どういう精神状態かもわかりません。
ミスをした時に客観的に見ることができないと、
「ああ、たいへんだ!」とパニックになります。
だから、ミスした人は、
普通なら考えられないようなミスを続けます。

それは、本人がミスをしたことによって
頭の中がパニックになったからです。
集中力がなくなって、
「おいおい、何をやっているんだよ。もうダメだ」となるのです。

はたから見ると、「なんでこんな簡単なミスを
しているのだろう」と思います。
が、本人はその簡単なことが簡単に見えなくなっているのです。
ミスをすると、集中力が切れやすいのです。
それを立てなおすためには、自分の実況中継をすることです。

「なぜあの人は集中力があるのか」より抜粋

ログイン 保存